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事業承継税制とは?メリットやデメリットを解説!

【事業承継・M&A】事業承継税制とは?メリットやデメリットを解説!

事業承継税制とは「事業を引き継いだ人が相続税・贈与税が免除される」制度です。

事業承継を検討している中小企業経営者は、早めに利用するかどうかを決めましょう。

相続税・贈与税を0円にするためには2024年3月末までに書類を提出しなければいけないためです。

そこで今回は事業承継税制のメリットやデメリットを解説します。

事業承継税制とは?

事業承継税制とは、事業承継する際、通常発生する相続税・贈与税が猶予・免除される制度です。

株式の評価が高いほど納税金額が高くなり、後継者としては事業を譲り受けるのをためらってしまいます。

相続税の場合、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に納税しなければいけません。

期限を過ぎると延滞税が発生するため、短期間で工面しなければならず、後継者としては大きな負担となります。

そこで活用したいのが事業承継税制です。

手続きの流れ

事業承継税制の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 特例承認計画を都道府県庁に提出する(※特例措置を活用する場合)
  2. 代表者の交代、株式の贈与
  3. 都道府県知事に事業承継税制の認定を申請する
  4. 認定書を添付し、相続税・贈与税を申告する
  5. 申告期限から5年間、要件を満たし続ける(※後述します)
  6. 5年経過後、3年に1回税務署へ「継続届出書」を提出する

参考:経営承継円滑化法申請マニュアル【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】令和4年4月改訂版 

事業承継税制のメリット

事業承継税制の主なメリットは以下の3点です。

  • 相続税・贈与税が100%免除される可能性がある
  • 親族でなくても対象となる
  • 個人事業主も利用できる

それぞれ確認しましょう。

相続税・贈与税が100%免除される可能性がある

事業承継税制の要件を満たすことで、相続税・贈与税の納税猶予が始まります。

猶予と聞くと「結局払う必要がある」と思うかもしれませんが、一定の条件を満たす場合は免除となります。

一般措置では贈与税100%の免除、相続税80%の免除となります。

特例措置の要件を満たすと、贈与税・贈与税どちらも100%免除となります。

つまり本来、莫大な贈与税・相続税をゼロにすることが可能な制度と言えます。

これなら後継者の負担が軽く、引き継ぎを了承してくれる可能性が高まるでしょう。

親族でなくても対象となる

中小企業の事業承継は子や妻に引き継ぐケース(親族内承継)が一般的です。

しかし家族・親族の中で後継者になってくれる人・ふさわしい人が居ない場合は役員・社員への引き継ぎ(親族外承継)を検討することになります。

ここで気になるのが、「親族でなくても事業承継税制は受けられるのか?」という点です。

事業承継税制では、後継者が親族でも社員でも対象となるので安心してください。

個人事業主も利用できる

事業承継税制は当初法人しか利用できませんでしたが、2019年の改正により、個人事業者の事業承継でも利用できるようになりました。

個人版事業承継税制では、相続税・贈与税ともに100%が猶予されます。

法人版と大きく異なる点はこちらです。

個人版法人版
贈与要件事業に関わる特定事業用資産すべてを贈与する一定数以上の非上場株式などを贈与する
雇用確保要件なし雇用の8割以上を維持
期限最初の認定の翌日から2年間最初の申告期限の翌日から5年間

事業承継を希望する個人事業主は、ぜひ事業承継税制を検討してください。

参考:-経営承継円滑化法-【個人版事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の認定申請マニュアル】令和4年4月改訂版

事業承継税制のデメリット

事業承継税制の主なデメリットは以下の3点です。

  • 要件を満たし続けなければ課税となる
  • 2024年3月までに計画を提出する必要あり
  • 専門家に依頼すると報酬が高額になる

費用対効果を考えた上で、利用すべきか判断しましょう。

要件を満たし続けなければ課税となる

事業承継税制は細かい要件を満たさなければいけません。

  • 会社自体
  • 前経営者
  • 後継者
  • 申告から5年間
  • 5年経過後

それぞれ要件を満たしていないと相続税・贈与税の免除がされず、納税する必要があります。

会社の主な要件

前経営者の主な要件

  • 会社の代表者であった
  • 相続・贈与の直前に、経営者とその親族で総議決権数の過半数を保有している
  • 筆頭株主である
  • 贈与税の場合:贈与時に代表者を退任している(有給役員として残るのは可)

後継者の主な要件

  • 相続・贈与の開始において、後継者とその親族などで総議決権数の過半数を保有している
  • 筆頭株主である
  • 贈与税の場合:贈与時に18歳以上。贈与前に3年以上役員を務め、代表者である
  • 相続税の場合:相続直前において役員だった。相続開始から5ヶ月後に代表者である

申告から5年間の要件

  • 後継者が筆頭株主である
  • 後継者が株式を継続保有している
  • 雇用の8割を維持している

5年経過後以降

いずれかに当てはまる場合、猶予が免除となります。

  • 次の後継者へ贈与(事業承継)
  • 同族関係者以外に株式などをすべて譲渡する
  • 会社の倒産

2024年3月までに計画を提出する必要あり

事業承継税制(特例措置)を利用したい場合、特例承継計画を2024年3月末までに提出しなければいけません。

特例措置は、もともと10年間の措置として納税猶予の割合を引き上げた(80%→100%)ものです。

適用期限は2018年から2027年12月31日までですが、計画の提出は2024年3月31日までとなっています。

2024年3月末までに特例承継計画を都道府県県庁に提出し、確認を受ける必要があります。

計画の内容はすぐに書けるほど簡単ではなく、引き継ぎまでの経営見通しや事業承継後の事業計画も求められます。

さらには認定経営革新等支援機関による指導・助言も必須です。

事業承継税制(特例措置)を受けたい経営者は、今すぐに取り組んだほうがよいでしょう。

参考:経営承継円滑化法申請マニュアル【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】令和4年4月改訂版 

専門家に依頼すると報酬が高額になる

事業承継税制の手続きは面倒で、複雑な書類を用意しなければいけません。

さらに申し込んだらそれで終わり、という訳ではなく、毎年書類の提出を求められます。

申告期限から5年間は都道府県庁へ「年次報告書」を、税務署へ「継続届出書」を提出します。

雇用の8割を守れない場合は理由を説明し、認定経営革新等支援機関の確認が必要です。

6年目以降は3年に1回、税務署へ「継続届出書」を提出します。

それぞれの書類を自社内で作成するのは難しいでしょう。

税理士などの専門家に依頼するとしても、サポート内容によっては100万円を超えるケースもあります。

事業承継税制で免除される金額と専門家への報酬を比較して、本当に利用すべきか判断しましょう。

参考:中小企業庁:法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類

まとめ

今回は事業承継税制のメリットやデメリットを解説しました。

メリットデメリット
相続税・贈与税が100%猶予又は免除される要件を満たし続けなければ課税となる
親族でなくても対象となる2024年3月までに計画を提出する必要あり
個人事業主も利用できる専門家に依頼すると報酬が高額になる

メリット・デメリットどちらも把握した上で、「自社は利用すべきかどうか?」を判断しましょう。

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