【ものづくり補助金】圧縮記帳の対象になる?そもそも課税される?
ものづくり補助金は最大3,000万円もの補助金が出る、大きな政策です。
でも、受け取った補助金は法人税等の課税対象であることをご存じでしょうか。
てっきり課税されないものだと思い、受け取ってから何もしないと、あとでガッツリ法人税等を持っていかれるなんてことも…。
そこで、「圧縮記帳」を活用すると、その年の税金を少額にして支払えるようになります。
▼この記事でわかること
・ものづくり補助金とは?
・圧縮記帳とは?
・ものづくり補助金の注意点
・圧縮記帳のメリットとデメリット
ものづくり補助金は、圧縮記帳の対象です。
補助金を受け取った年は、支払い義務の課される税金が大きくなるはず。
一気に税金の負担がかかるのがこわいという企業は、圧縮記帳を使うのがおすすめです。
この記事では、圧縮記帳は何かという説明から、ものづくり補助金を受ける前に知らないと危ない注意点までご紹介します。
「圧縮記帳って何?」「ものづくり補助金って受けたら損しない?」と悩んでいる人は、参考にしてください。
目次
ものづくり補助金とは?革新的なサービス展開を応援
はじめに、ものづくり補助金について簡単に説明します。
すでにご存じの方は、下記まで読み飛ばしてください。
ものづくり補助金とは、企業が革新的なサービスを生み出すために支払われる補助金制度です。
補助金を活用することで生産性を向上し、社会に新しい価値を提供することが目的とされています。
最大で3,000万円の補助金を受け取れるため、これから新しいサービスや事業展開をしていこうと考えているなら、申請するのがおすすめです。
ただし、ものづくり補助金は採択制のため、申請すれば必ず補助金をもらえるわけではありません。
革新的な価値を生み出すための事業計画書を提出し、認められる必要があります。
ものづくり補助金について、詳しくは別記事で解説しています。
【関連記事】ものづくり補助金とはどんな補助金?概要まとめ
ものづくり補助金で採択されたい!注意点とは?
ものづくり補助金は、大きな金額で支援をしてもらえます。
とはいえ、補助事業を完全に無料でできるかというと、そうではありません。
ものづくり補助金の申請をする前に知っておくべき注意点は、主に4点です。
①課税対象である
②補助金は後払いである
③補助金返還の可能性がある
④補助率は100%ではない
採択されたからと喜んでいると、計画にあてる費用が足りなくなってしまうかも…。
それぞれの注意点について解説します。
ものづくり補助金の注意点①:法人税等の課税対象である
ものづくり補助金は課税対象である、というのは、今回の記事のメインテーマです。
ものづくり補助金は、企業の「収益」として受け取ることになり、税金を支払う可能性が高くなります。
税金を払うことを視野に入れながら、計画的に事業を展開しましょう。
ものづくり補助金の注意点②:補助金は後払いである
補助金は原則、後払いと決まっています。
つまり、交付申請手続きをすればすぐに補助金が受け取れるのではなく、資金を全て自社で支払ったあとに補助金が入ってくる流れです。
企業に事業計画を実施できるだけの資産的な余力がないと、ものづくり補助金を受け取ることも現実的ではなくなります。
ものづくり補助金の注意点③:補助金返還の可能性がある
ものづくり補助金では、申請の際に掲げた賃上げや給与支給総額の結果が基準値を上回らなかった場合、返還をしなくてはいけないことがあります。
つまり、もらえれば話が終わるわけではなく、事業を成功させ、申請の際に掲げた賃上げなどの目標を達成しなくてはいけないということです。
採択されることばかりに力を入れて、現実味のない事業計画をたてるのはおすすめしません。
成果が出せないと結局返金しなくてはいけないので、現実味がないと意味がありません。
ものづくり補助金の注意点④:補助率は100%ではない
事業計画に対して、補助金がおりるのは補助対象経費の2/3〜1/2部分だけです。
つまり、事業をまるまる無料で実施できるわけではありません。
事業の一部は自己負担になることと、補助金は収益として課税対象になることを念頭においたうえで、申請に挑みましょう。
ものづくり補助金は対象!圧縮記帳とは?
ものづくり補助金を受ける場合、「圧縮記帳」の対象となります。
圧縮記帳の対象ということは、税金を数回にわけて払えるようなイメージです。
最終的に支払う税額は減るわけではないですが、まとめて税金を払うよりも初年度の負担が軽くなるというメリットがあります。
ただし、免税制度ではないという点が注意です。
どうして圧縮記帳ができるの?税法の規定です
圧縮記帳は税法の規定として、取得額を圧縮損として計上できると決められています。
圧縮損とすることで、収益額は圧縮されるため、その年の税負担が軽くなるという仕組みです。
ただし、圧縮損はあくまで「圧縮」であり「減額」ではないため、最終的に支払う必要のある税金が減るわけではありません。
つまり「圧縮記帳」とは、納税を先延ばしにするために国が用意した手段ということです。
どんな場合に圧縮記帳は便利?
圧縮記帳がおすすめなのは、ものづくり補助金を受けた年に一括で大きな税金を払いたくない企業です。
ものづくり補助金を使って新しい取り組みを行う年に、税金をドンと支払うことになってしまうと、出費がかなり重なってしまうはずです。
その費用を思いっきり新規事業にあてたいと考える人もいるでしょう。
まとまった税金の負担があると補助金の効果が薄れてしまうと感じるなら、圧縮記帳を活用するのがおすすめです。
一方で「課税分も初年度にまとめて払ってしまいたい」という企業なら、圧縮記帳は不要です。
圧縮記帳のメリットとは?
圧縮記帳を利用するかどうかは任意です。
使った方が良い企業もあれば、そうでない企業もあります。
圧縮記帳のメリットは、ものづくり補助金を受け取った年度の税負担を減らせることです。
・増える課税分が払えるか不安
・新事業に費用を集中投資したい
・税金を分割して払いたい
・税金を引くと新事業の効果が薄れる
このような企業は、積極的に圧縮記帳を使うのも良いでしょう。
圧縮記帳のデメリットとは?
一方で、圧縮記帳のデメリットについても確認します。
圧縮記帳のデメリットは主に、節税にはならない点です。
課税対象分を圧縮する仕組みの圧縮記帳では、圧縮後の資産をもとに減価償却費を計算するため、圧縮記帳をしなかった場合の減価償却費よりも費用が小さくなり、節税効果が減ってしまうからです。
つまり、補助金を受けた年だけは一見、税金が減ってみえるだけということ。
さらに、資産面での管理も、圧縮記帳資産を別で管理することになり面倒になります。
もし一括で納税をしたあとも資産に余裕がある場合には、圧縮記帳は不要かもしれません。
ものづくり補助金は圧縮記帳の対象!よく考えよう
ものづくり補助金は、圧縮記帳の対象となります。
補助金を受けた初年度にかかる税金をおさえたいという企業にはピッタリですが、資産管理面では少々面倒になります。
ドカンと税金を払ってしまえるなら、圧縮記帳は活用する必要はないかもしれません。
圧縮記帳は企業によって、活用すべきかを選ぶのがおすすめです。
とはいえ、将来の資金については確実性がないからこそ、どうするのが正解かわからず不安を抱える企業もあるでしょう。
答えが出ないときには、税金の専門家に相談してみるのも良いです。
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