【ものづくり補助金】グローバル展開型とは?要件や採択率を徹底解説!
ものづくり補助金は「グローバル展開型」と「一般型」に分けられています。
海外事業の展開・強化を考えている中小企業にとって「グローバル展開型」は気になりますよね。
「グローバル展開型」の補助金額は1,000万〜3,000万円と高額なのですが、その分審査は厳しいようです。
そこで今回はものづくり補助金「グローバル展開型」の要件・採択率について解説します。
グローバル展開型の概要
ものづくり補助金「グローバル展開型」の対象は海外事業の拡大・強化に取り組む中小企業です。
まずは「グローバル展開型」について簡単に説明します。
参考:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
4つの類型がある
「グローバル展開型」には4つの類型が用意されています。
- 海外直接投資型:グローバルな製品・サービスの開発・提供に取り組む中小企業
- 海外市場開拓型:海外顧客の拡大に取り組む中小企業
- インバウンド市場開拓型:インバウンド(訪日外国人)の市場拡大に取り組む中小企業
- 海外事業者との共同事業型:外国法人と共同研究・共同事業開発に取り組む
海外事業への投資を検討している中小企業は、いずれかに該当するかと思います。
それぞれの要件を確認し、ぜひ応募を検討してみてください。
※各要件は後述します。
上限金額は3,000万円
「グローバル展開型」の補助上限額は3,000万円です。
「一般型」の補助上限額は750万〜2,000万円のため、「グローバル展開型」が優遇されていることが分かります。
補助率は2分の1(小規模事業者などは3分の2)です。
対象経費は以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
「一般型」と異なるのは海外旅費が含まれている点です。
海外渡航・宿泊などの費用も補助対象となります。
事業実施期間が12ヶ月
ものづくり補助金では補助事業期間が決められており、その期間内に発注から支払いまで完了する必要があります。
万が一、期間内に手続きを完了していなければ補助対象から外れてしまいます。
「補助金をあてにして外注したのに、結局、自社が全額負担…」というケースは回避したいものです。
「一般型」では最大で交付決定日から10ヶ月以内のため、場合によっては新商品の開発などを急がなければいけません。
しかし「グローバル展開型」では最大で交付決定日から12ヶ月以内と比較的長く、余裕を持ったスケジュールを組めます。
海外市場のニーズ調査や現地パートナーとの選定にも時間を割けるでしょう。
グローバル展開型の要件
ものづくり補助金「グローバル展開型」の要件について説明します。
類型ごとに要件が異なるため注意してください。
海外直接投資型
- グローバルな製品・サービスの開発提供により、国内拠点の生産性を高めるための事業である
- 国内の本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上を海外支店・海外子会社の補助事業にあてる
- 国内事業所に単価50万円(税抜)以上の設備投資を行う
- 申請時に、海外支店・海外子会社の事業概要などの資料を提出する
- 実績報告時に、海外支店・海外子会社との委託契約書や事業完了報告書を提出する
海外市場開拓型
- 補助事業実施場所は国内で、製品などの販売先は2分の1以上が海外顧客となる
- 計画期間中、補助事業の売上累計額が補助額を上回る予定
- 申請時に、海外市場調査報告書などを提出する
- 実績報告時に、想定顧客による試作品などの性能評価報告書を提出する
インバウンド市場開拓型
- 補助事業実施場所は国内で、サービスなどの販売先は2分の1以上が訪日外国人となる
- 計画期間中、補助事業の売上累計額が補助額を上回る予定
- 申請時に、インバウンド市場調査報告書などを提出する
- 実績報告時に、プロトタイプの仮説検証報告書を提出する
海外事業者との共同事業型
- 補助事業実施場所は国内で、外国法人と共同研究・共同事業開発に伴う設備投資である
- 成果物の権利(一部も可)が補助事業者に帰属する
- 申請時に、共同研究契約書または業務提携契約書を提出する
- 実績報告時に、契約の進捗が分かる成果報告書を提出する
参考:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
グローバル展開型の採択率
ものづくり補助金「グローバル展開型」の採択率は以下の通りです。
締切回 | 採択率 | 応募者数 | 採択者数 |
---|---|---|---|
4次 | 16.9% | 271 | 46 |
5次 | 28.7% | 160 | 46 |
6次 | 34.2% | 105 | 36 |
7次 | 41.9% | 93 | 39 |
8次 | 39.1% | 69 | 27 |
9次 | 39.3% | 61 | 24 |
10次 | 40.0% | 70 | 28 |
10次締切(令和4年2月16日〜令和4年5月12日)では70者が応募し、そのうち28者が採択されました。
採択率で言えば40.0%と低めです。
採択率から分かる通り、「とりあえず申請すれば補助金がもらえる」という訳ではありません。
ものづくり補助事業公式ホームページには成果事例が掲載されているため、いちど目を通しておくとよいでしょう。
参考:採択結果|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
参考:成果事例検索
グローバル展開型の採択率が一般型よりも低い理由
ものづくり補助金「一般型」の採択率は約60%と比較的高く、多くの事業者が補助を受けています。
一方「グローバル展開型」の採択率は約40%です。
採択率に差が出る理由は3点考えられます。
- そもそも応募者数が少ない
- 要件のハードルが高い
- 特に優れた内容が求められる
過去の採択結果では応募者数を確認できます。
「一般型」は毎回4,000〜6,000が応募するのに対して、「グローバル展開型」は100前後です。
「グローバル展開型」の要件が厳しく、満たせないために「一般型」で応募する企業もいるでしょう。
さらに、公募要領の注意事項には以下のように記されています。
本事業では、応募時に提出いただいた事業計画書を外部有識者からなる審査委員会が評価し、より優れた事業提案を採択します。グローバル展開型は特に優れた内容を求めます。
引用元:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
「グローバル展開型」の補助金は高額であるため、審査がより厳しくなっていることが分かります。
審査を通過するためには、商工会議所や金融機関・税理士などのサポートを受けたほうがよいでしょう。
まとめ
今回はものづくり補助金「グローバル展開型」の要件・採択率について解説しました。
「グローバル展開型」には4つの類型があり、それぞれ要件が異なります。
- 海外直接投資型:グローバルな製品・サービスの開発提供を行う
- 海外市場開拓型:製品などの販売先は2分の1以上が海外顧客
- インバウンド市場開拓型:サービスなどの販売先は2分の1以上が訪日外国人
- 海外事業者との共同事業型:外国法人と共同研究・共同事業開発に伴う設備投資
自社がどれに当てはまるかをしっかり確認しましょう。
また、採択率は約40%と、「一般型」よりも低い結果が出ています。
要件を満たしていても、申請すれば審査に通るという訳ではありません。
補助金を受け取るためには、過去の事例を確認したり専門家に相談したりといった対策が必要です。
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