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令和5年度「省人化・省力化補助金(仮)」の状況 - 事業再構築補助金の再編・中小企業の新たな支援策を徹底解説

令和5年度「省人化・省力化補助金(仮)」の状況 – 事業再構築補助金の再編・中小企業の新たな支援策を徹底解説

更新:2023/12/10
公開:2023/11/15

事業再構築補助金の公式ページで、下記の発表がありましたね。

2023.12.08ご案内事業再構築補助金に係る第11回採択発表の延期について

第11回の補助金交付候補者の採択発表は、令和5年12月下旬~令和6年1月上旬頃を予定しておりましたが、審査に時間を要しているため、令和6年1月下旬~2月上旬頃へ延期させていただきます。

補助金交付候補者の採択発表が遅れますことをお詫び申し上げます。

出典 事業再構築補助金 事務局からのご案内

2023.12.08ご案内事業再構築補助金に係る第12回以降の公募について

本事業は、11月12日(日)に内閣官房行政改革推進本部事務局が実施した「令和5年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)」において取り上げられ、下記リンク先のとおり外部有識者によるとりまとめが行われております。

(コロナ関連)中小企業等事業再構築促進基金取りまとめ

第12回以降の公募については、ご指摘を踏まえた見直しを行った上で公募を再開する予定です。
引き続き、事業再構築補助金については、事業状況の検証・分析等を通じた効果測定を行い、中小企業等事業再構築促進基金の政策目標の達成に向けて、適切に実施していきます。

出典 事業再構築補助金 事務局からのご案内

第11回 採択発表が、1ヶ月ずれ込み、2024年1月下旬〜 2月上旬に変更になり、第12回の公募は、再開予定ではあるものの見直しにまだ時間がかかるようです。

この経緯については、当記事に説明されている通りです。もう少し待つ必要がありそうです。

「事業再構築補助金はいつまであるの?」「事業再構築補助金はどうなるの?」と、よく質問をいただきますが、令和5年度補正予算の概要や、この前後の動きから今後の中堅・中小企業支援策が見えてきました。

この記事では、「省人化・省力化」に関わる予算の情報から、政府が進める中小企業の生産性向上と人手不足問題への対応、企業の成長と労働環境改善のための支援策(補助金等)について、新たな支援策と事業再構築補助金の見直しについて解説します。

補正予算について

2023年11月2日の臨時閣議にて、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が決定され、このうち支援策に関わる情報を抜粋すると、

省人化・省力化投資への支援を行う。また、地方においても賃上げが広がるよう、中堅・中小企業による工場等の拠点の新設や大規模な設備投資を支援する。(p4)

人手不足に悩む中小企業・小規模事業者のため、省人化・省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性がある支援措置を新たに実施するとともに、事業の実情に合わせた生産プロセスの効率化・高度化を支援する。地方においても賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業が工場等の拠点を新設する場合や大規模な設備投資を行う場合について、支援措置を新たに実施する。(p16)

・簡易で即効性がある省人化・省力化支援に向けた中小企業等事業再構築促進事業の再編(経済産業省)
・中堅・中小企業の持続的賃上げに向けた省人化等の大規模成長投資の促進(経済産業省)
・中小企業等の生産プロセス効率化・高度化等を支援する「中小企業生産性革命推進事業」(経済産業省)<再掲>
・対内直接投資促進及び中堅・中小企業の海外展開の支援事業(経済産業省)(p17)

引用 内閣府『「デフレ完全脱却のための総合経済対策」について(令和5年11月2日閣議決定)』

と、発表がありました。

次に、内閣府は2023年11月7日『「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定しました』の資料の中に、対策の具体的な内容として、

地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する
2024年以降も賃上げの流れを継続するため、賃上げ促進税制の検討、価格転嫁対策、省人化・省力化投資の支援等を行います。

引用 内閣府『「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定しました(2023/11/07)』

さらに、閣議後記者会見では西村経済産業大臣により、経済対策の質疑応答の抜粋として、

人手不足が構造的な問題となり、各地で悲鳴のような声が上がっています。これに応えていくための省力化・省人化投資を大胆に進めていきたいと思います。

当面はエネルギー危機に強い構造、あるいは省人化・省力化投資ですが、長い目で見て世界をイノベーション、技術でリードしていくための大胆な投資、支援を行っていきたいと考えています。

引用 経済産業省「西村経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(2023/11/07)」

とし、この中で特に、

  • 様々なロボットやAI
  • 半導体、電池、あるいはDX
  • GX、新しいエネルギー

などのテーマで転換も含めた大胆な投資が検討されています。

経済産業省関係令和5年度補正予算案について

このような流れがあり、2023年11月10日に、令和5年度補正予算が閣議決定され、

引用 経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要 令和5年 11月(2023/11/10)」

経済産業省では、中小企業省力化投資補助事業として、1,000億円の補正予算と、事業再構築補助金の基金からの拠出を含め、5,000億円規模の予算を準備しています。

この事業再構築補助金の基金とは、中小企業等事業再構築促進基金というものです。これは新型コロナウイルス感染の拡大時に、各年度毎の予算では早急で継続的な年度を跨いだ支援ができないため、基金を設立して予算を準備していました。

これが現在、令和5年度見込みで、年度末基金残高1,455,418百万円(参考 政府の行政改革 秋のレビュー2日目(コロナ関連)中小企業等事業再構築促進基金(経済産業省)資料「中小企業等事業再構築促進基金の概要(2023/11/12)」)となっており、取りまとめでは、この基金自体が新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるため、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべきで、新規採択の停止等が提言されています。

ここまでの流れをまとめると、

  1. 経済的な支援は新型コロナウイルス感染症への対策から、省人化・省力化投資へと移る。
  2. 予算は補正予算および事業再構築補助金の予算からの拠出を合わせて、5,000億円規模となる。
  3. これまでの事業再構築補助金は、「経済構造の転換に挑戦する」か「コロナ債務を抱える」事業者に重点化する。

となります。

1の省人化・省力化について、「カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性がある支援措置」と、2023年11月2日の閣議決定資料にあるように、省人化・省力化は導入に対し経営負担が少ない製品のうち、決められたリスト内から選択する方式であることが想定されているようです。

導入製品そのものが高度であったり、即効性があるものでないと選択できないということでしょうか。その「カタログ」というものがどういったもので、誰が選定するのかも今のところわかっていません。

2の予算は、年度を跨ぐ予算である事業再構築基金からの拠出で、補正予算と合わせて5,000億円規模とのことなので、十分に大きい予算ではあります。

3のこれまでの事業再構築補助金の見直しについて、重点化する事業者の前者「経済構造の転換に挑戦する」というのは、事業再構築補助金の公募要領にある

「政策点①ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。」

この部分に補助事業が当てはまるかどうかが、重点的に判断されると考えられます。

つまり、事業の効果が相当程度大きな影響を日本経済に及ぼす可能性があり、経済構造を転換させるほどの内容である必要があるようです。

また、重点化される後者の「コロナ債務を抱える」事業者というのは、コロナ禍において債務を抱えてもなお成長を目指すとなると、相当程度のリスクや成長投資への資金の余裕や機会がある事業者となると考えられますが、これは少し現実的ではないように思えます。

「省人化・省力化補助金(仮)」とは何か?

ここで見てきたように、「省人化・省力化補助金(仮)」は、今のところ補助金名は確定しているわけではなく、「中小企業省力化投資補助事業」という支援策として提言され、予算を確保されているものです。

特に人手不足に対応するため、様々な機器や技術の導入を支援します。また、これを簡易にするために、カタログから汎用製品を洗濯して、省力化投資を実現できるような支援とされており、企業が直面する現代の課題に対応し、業務の効率化と生産性の向上を促進することで、中小企業の持続可能な成長を支える重要な役割を果たします。

参考: 経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要

補助金の対象となる事業者

この補助金は、業種を問わず広範な中小企業や小規模事業者が対象です。これにより、多様な業界における効率化と成長が促進されます。この制度は、特に労働集約型の業務を持つ企業にとって、人手不足の課題に対する有効な解決策となることが期待されています。

まとめ

「省人化・省力化補助金(仮)」は、中小企業や小規模事業者のための重要な支援策です。この補助金は、生産性の向上、経営の安定化、そして最終的には持続可能な事業成長を目指す企業にとって大きなチャンスを提供します。補助金は、労働力の効率化に関する多様な技術や機器の導入を支援し、人手不足という現代の課題に対応します。

2024年に向けて、中小企業経営者の皆さんには、自社のニーズに合った機器や技術を検討し、補助金の詳細が公開され次第、申請に向けた準備を始めることをお勧めします。

引き続き当ブログでは、最新の補助金の情報を発信していきます。貴社の事業運営をさらに効率的かつ生産的にし、新たな成長の機会を掴んでいただければ幸いです。

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