【ものづくり補助金】賃上げとは?要件や加点、注意点を解説!
「ものづくり補助金」に申請するには賃上げ要件を満たさなければいけません。
事業計画に取り組んでいる経営者にとって「どれくらい給料を上げるべきか?」と悩むポイントだと思います。
そこで今回は、ものづくり補助金の賃上げについて要件・加点・注意点を解説します。
目次
ものづくり補助金の賃上げ要件
ものづくり補助金の賃上げに関する基本要件は2点あります。※11次締切分
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
少し分かりにくいので、簡単に説明します。
参考:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
「給与支給総額」とは、従業員や役員に支払った給料・賞与・手当などの給与所得を合計した金額です。
残業手当・休日出勤手当などに含まれます。
※退職手当や福利厚生は含まれません。
1年で1.5%の賃上げが目標となるため、3年の事業計画では、3年後に4.5%(1.5% × 3年)が求められます。
地域別最低賃金+30円以上の水準
「事業場内最低賃金」の事業場とは、実際に設備などを導入する事業実施場所を指します。
店舗・支社・工場などで働く従業員の中で最も低い賃金を、「地域別最低賃金」より30円以上にする必要があります。
「地域別最低賃金」は都道府県ごとにおける最低賃金(時給)のことです。
- 東京:1,041円
- 千葉:953円
- 愛知:955円
- 北海道:889円
- 大阪:992円
- 広島:899円
- 香川:848円
- 熊本:821円
例えば事業場が東京にある場合、1,041円+30円=1,071円を目指します。
地域別最低賃金の詳細は厚生労働省ホームページから確認できます。
回復型賃上げ・雇用拡大枠はさらに要件が追加
ものづくり補助金の「回復型賃上げ・雇用拡大枠」を狙う場合、基本要件に加えて次の3点も満たさなければいけません。
- 前年度の事業年度の課税所得がゼロである
- 常時使用する従業員がいる
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成する
自社で該当するかどうか確認するのもよいですが、少しでも不安な点がある場合は専門家への相談をおすすめします。
ものづくり補助金の賃上げ加点
ものづくり補助金の採択率を上げるために加点を理解しておきましょう。
加点は「成長性加点」「政策加点」「災害等加点」「賃上げ加点」の4種類があります。
賃上げ加点では以下に当てはまる中小企業が評価されます。
- 基本要件の賃上げよりも高い水準を計画している
- 特定適用事業所該当通知書を提出する
基本要件の賃上げよりも高い水準を計画している
ものづくり補助金の基本要件は「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」・「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上」です。
基本要件より高い水準を計画している場合、従業員数の規模に応じて加点されます。
以下の条件を満たせないか、確認してみましょう。
- 給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上を計画している
- 給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上を計画している
特定適用事業所該当通知書を提出する
被用者保険の適用拡大の場合「特定適用事業所該当通知書」を提出します。
「特定適用事業所」とは、厚生年金保険の被保険者が500人を超える事業所のことです(※直近1年のうち6ヶ月以上)。
特定適用事業所に当てはまる場合は、日本年金機構からお知らせと「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。
詳細は事業所の所在地を管轄する年金事務所にてお問い合わせください。
ものづくり補助金の賃上げに関する注意点
ものづくり補助金の賃上げについて、注意点を紹介します。
- 目標に達しない場合、返還となる
- 不正行為が判明した場合は罰金も
- 賃金引き上げの誓約書が必要
注意点を十分理解した上で、申請の準備を始めましょう。
目標に達しない場合、返還となる
ものづくり補助金の賃上げ要件・加点のために、非現実的な事業計画は立てないようにしましょう。
補助金を受けてから数値目標を達成できなかった場合、返還が求められます。
例えば「給与支給総額の年率平均1.5%以上増加」を満たさなかった場合、導入した設備などの帳簿価額または時価のうち、低い方の額のうち補助金額に対応する部分を返すことになります。
事業計画書には「実行できる数値目標」を記載しましょう。
中小企業診断士など専門家に相談し、具体的・現実的な事業計画を作ったほうが無難です。
不正行為が判明した場合は罰金も
ものづくり補助金は生産性向上・新サービス開発に取り組む中小企業をサポートする制度です。
当たり前ですが、「嘘を書いて申請する」「目的以外で利用する」「補助金受給金額を釣り上げて関係者に配る」などの不正行為はしてはいけません。
万が一、不正行為が判明した場合は重いペナルティが課されます。
- 補助金の返還+加算金
- 不正内容の公表
- 5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(または両方)
「他の会社もやっている」「どうせ見つからない」という安易な気持ちで不正行為をしないようにしましょう。
賃金引き上げ計画の誓約書が必要
ものづくり補助金に申請する際「賃金引き上げ計画の誓約書」を提出しなければいけません。
誓約書は”約束を固く守る”という意思表示を行うための書面です。
「賃金引き上げ計画の誓約書」には、申請時点の直近1ヶ月の事業場内最低賃金・直近決算における給与支給総額などを明記します。
先述の注意点「目標を達成しない場合、返還となる」にもつながりますが、もう補助金をもらったから賃金制度を見直さなくていいか…といった態度は誓約書に反することになります。
「賃金引き上げの誓約書」を十分理解してから署名しましょう。
様式はものづくり補助事業公式ホームページからダウンロード可能です。
参考:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
まとめ
今回は、ものづくり補助金の賃上げについて要件・加点・注意点を解説しました。
ものづくり補助金の賃上げに関する基本要件は以下です。※11次締切分
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
「回復型賃上げ・雇用拡大枠」に申請する場合はさらに厳しい条件をクリアする必要があります。
基本要件より高い水準の数値目標を掲げると加点対象になりますが、未達の場合返還を求められるので注意してください。
事業計画の採択率を上げるため、そして実現可能性を上げるために、専門家への相談をおすすめします。
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