
【事業承継・M&A】事業承継とM&Aの違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットを解説!
「事業承継とM&A、どう違うのか?」と困っていませんか。
結論を言えば、M&Aは事業承継の手段のひとつです。
「子どもがいない」「候補はいるが、承諾してくれない」といった後継者問題に悩む中小企業も、M&Aを活用すれば廃業を回避できる可能性があります。
そこで今回は事業承継とM&Aの違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットを解説します。
事業承継とM&Aの違い

事業承継は後継者へ事業を引き継ぐことを指し、M&Aは企業の買収・合併を指します。
簡単に言えば、事業承継の方法のひとつがM&Aです。
事業承継とM&Aの違いをより理解するために、それぞれの特徴を確認しましょう。
事業承継の特徴
事業承継は経営権・資産・人材・負債を後継者に譲ることを意味します。
事業承継には3つの方法があります。
- 親族内承継
- 親族外承継(社内承継)
- M&A(第三者承継)
親族(妻や子ども)、社員・役員に引き継ぐ意志がない場合はM&Aが有効です。
ここで日本政策金融公庫の調査による、廃業予定企業の理由を確認してみましょう。
- そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない:43.2%
- 事業に将来性がない:24.4%
- 子どもがいない:12.5%
- 子どもに継ぐ意思がない:12.2%
- 適当な後継者が見つからない:4.3%
- 地域に発展性がない:2.1%
- その他:1.3%
つまり、後継者が決まらないせいで廃業を予定している企業が29.0%という計算です。
いま後継者が見つかっていない状況でも、M&Aを活用すれば廃業を回避できるかもしれません。
事業承継の手段として、ぜひM&Aを検討してみましょう。
参考:日本政策金融公庫総合研究所小企業研究グループ 中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査) sme_findings200124.pdf
M&Aの特徴
M&Aの手法は大きく3種類に分けられます。
- 買取(株式譲渡等の株式取得、事業譲渡)
- 合併(新設合併、吸収合併)
- 分割(新設分割、吸収分割)
事業承継では「株式譲渡」が一般的です。
会社を売りたい側が買い手に株式を譲ることで、許認可や取引先との契約などもそのまま引き継ぐことができます。
「でも、M&Aは大企業しかできないのでは?」と不安になるかもしれません。
中小企業によるM&A成約件数は年々増加しており、事業承継の方法として定着しつつあります。
中小企業庁も「事業承継・引継ぎ補助金」や「M&A支援機関登録制度」でM&Aを推進しているため、取り組みやすいと言えるでしょう。
事業承継・後継者問題に悩んでいるなら、まずはM&A専門家への相談をおすすめします。
M&Aを行うメリット

事業承継としてM&Aを行う主なメリットはこちらです。
- ふさわしい後継者を見つけられる
- 売却益を受け取れる
- 個人保証から解放される
- 廃業コストを回避できる
- 従業員の雇用を守れる
それぞれ確認していきましょう。
メリット1.ふさわしい後継者を見つけられる
親族や役員・社員の中で後継者を探そうとしても、資質のある人が見つかるとは限りません。
経営知識などをイチから教えると数年はかかるでしょうし、現経営者の引退が遅くなってしまうかもしれません。
年齢・体調面から引退を考えているなら、できるだけ早く事業を任せたいですよね。
そんなときにM&Aマッチングを活用すれば、後継者にふさわしい人をスピーディーに見つけられます。
後継者育成にそこまで時間や手間をかけずに済むので、すんなり引退できるでしょう。
メリット2.売却益を受け取れる
M&Aで事業承継をすると現金を受け取れます。
売却価格は純資産や市場価値・無形資産などによって決まります。
価格を少しでも高くするために、シナジー効果など大きな利益が見込めるとアピールしましょう。
メリット3.個人保証を解消できる機会になる
中小企業経営者が抱える悩みのひとつとして、個人保証・担保が挙げられます。
会社の業績が悪くなれば自己資産を失う可能性もあるため、後継者候補がためらうでしょう。
たとえ事業承継が行われても、後継者に個人保証や担保を引き継げなかった場合、引退後もリスクを負うことになります。
事業に関わっていないとしても、会社が倒産したら自己資産を渡さなければいけないケースもあります。
経営者保証ガイドラインの適用等を活用して、個人保証の解除や見直しを行いましょう。
メリット4.廃業コストを回避できる
後継者が見つからず廃業を選択した場合、余計なコストがかかります。
- 事務所・店舗の原状回復
- 在庫や設備の処分
- 従業員への補償
- 廃業手続き(登録免許税・官報公告など)
M&Aを実施すると、廃業コストを削減できる上に売却益も得られます。
メリット5.従業員の雇用を守れる
買収・合併と聞くと「うちの従業員はどうなるのか?リストラ(解雇)されてしまわないか?」と不安になる方もいるでしょう。
M&A買い手企業の主な目的は「人材確保」です。
ビジネスにおいて人材は非常に重要であり、特に専門的なノウハウを持つ人材を獲得したいと考えています。
そのため、買い手企業は「M&A後も社員が残ること」を希望します。
キーマン(重要人物)が退職しないことをM&Aの条件とすることもあります。
M&Aなら、労働条件は基本的に維持されます。
M&Aを行うデメリット

事業承継としてM&Aを行う主なデメリットはこちらです。
- 選定・交渉に時間がかかる
- 取引先や顧客から反発を買う
デメリットも把握した上で、自社に向いているかどうか判断しましょう。
デメリット1.選定・交渉に時間がかかる
M&Aでは、自社を買ってくれる企業を見つけなければいけません。
M&A仲介会社やマッチングサービスを利用しても、買い手が見つからないケースもあります。
もし買い手候補があらわれたとしても、希望条件で売却できない可能性も考えられます。
売却価格や従業員の処遇などひとつひとつ交渉していきます。
選定・交渉への時間を短縮するには「磨き上げ」が重要です。
磨き上げとは自社の企業価値を上げる方法です。
- 独自の技術やノウハウを強化する
- 不要な在庫を処分する
- 借入金を減らす
- 中長期的な事業計画書・経営計画書を作る
買い手候補に企業価値を認めてもらえれば、スムーズにM&A契約となるでしょう。
デメリット2.取引先や顧客から反発を買う
M&Aを実施すると経営方針・経営理念が引き継がれない場合があります。
これまで築き上げてきた信頼関係が崩れ、取引先から契約解除を言い渡されたり、顧客が離れたりということも予想されます。
M&A後も経営を安定させるために取引先・顧客への説明が必要です。
M&Aの内容がある程度固まったら、まわりの方にも納得してもらえるよう説明の場を設けましょう。
まとめ
今回は事業承継とM&Aの違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットを解説します。
M&Aは事業承継の方法のひとつであり、後継者問題に悩む中小企業経営者におすすめの方法です。
M&Aのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
ふさわしい後継者を見つけられる 売却益を受け取れる 個人保証見直しの機会となる 廃業コストを削減できる 従業員の雇用を守れる | 選定・交渉に時間がかかる 取引先や顧客から反発を買う |
事業承継とM&Aについて理解し、自社に合う方法を考えてみましょう。
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