【事業承継・M&A】M&Aで繰越欠損金はどうなる?節税に使える?
はじめに
企業の合併や買収(M&A)は、事業の成長や市場拡大のための戦略的手段として広く利用されています。このプロセス中において、繰越欠損金の管理と活用は、事業者にとって大きな税務上の機会を提供します。繰越欠損金を適切に活用することで、財務効率を大幅に向上させることが可能です。この記事では、M&Aの文脈での繰越欠損金の重要性と、その戦略的な活用方法について詳細に解説します。
繰越欠損金とは?
繰越欠損金は、企業が赤字を出した場合に未来の税務期間に利益が出た際に、その利益から損失を差し引くことを許可される税務上の制度です。この制度により、企業は不況期の損失を将来の好況期に繰り延べることができ、税負担の平準化が図れます。日本の税法では、この繰越を最大10年間行うことが可能で、企業の財務安定性の確保に寄与しています。
M&Aにおける繰越欠損金の取り扱い
M&Aを実施する際、繰越欠損金の扱いは、その取引の効果を大きく左右する要素の一つです。特に、買収対象が繰越欠損金を大量に保有している場合、その資産の価値を正確に評価し、最適な利用戦略を立てることが求められます。
1. 繰越欠損金の引継ぎ可能性
株式取得によるM&Aの場合、通常、繰越欠損金は引き継がれますが、これは買収後も企業の法人格が維持されるためです。一方で、事業統合による合併のケースでは、繰越欠損金の扱いは合併の種類や条件によって異なり、場合によっては繰越欠損金が失効するリスクもあります。
2. 利用制限の存在
繰越欠損金の利用には法的な制限が存在し、特に「所有権変更」が発生すると、繰越欠損金の利用が制限されることがあります。これは、企業の実質的な支配権が大幅に変更された場合に適用され、税逃れを防ぐための措置として設けられています。
繰越欠損金の活用戦略
M&Aにおける繰越欠損金の戦略的活用は、税務効果の最大化という観点から非常に重要です。
1. 税務効果の最大化
買収や合併において、繰越欠損金を持つ企業を選定することは、直接的な節税効果をもたらす可能性があります。特に、安定した利益を上げている企業が赤字企業を買収する場合、その繰越欠損金を活用して税負担を軽減することができます。
2. 税務デューデリジェンスの重要性
繰越欠損金の正確な評価と将来の利用可能性を確認するためには、税務デューデリジェンスが必要です。このプロセスでは、繰越欠損金の残高、適用可能な税法の変更、およびその他の関連する制限事項が詳細に調査されます。
まとめ
M&Aの文脈での繰越欠損金の適切な管理と活用は、事業者にとって重要な財務戦略となります。これを通じて、企業は税負担を軽減し、より効果的な事業運営を実現することが可能です。M&Aを検討する際は、繰越欠損金の潜在的価値を理解し、専門家と協力して最適な取引構造を設計することが推奨されます。このようにして、税務面でのリスクを最小限に抑えつつ、企業価値の最大化を図ることができます。
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