【事業承継・M&A】会社売却(株式譲渡)のメリット・デメリットとは?売却を成功させるためのポイントを解説
会社売却を検討している方へ。
「売却のメリットは?」「注意点は?」「何を準備すればいい?」と悩んでいませんか。
そこで今回は会社(株式)売却のメリットとデメリット、成功させるためのポイントを解説します。
会社売却(株式譲渡)3つのメリット
会社売却(株式譲渡)の主なメリットを紹介します。
- 売却益を得られる
- 個人保証を解除できる
- 従業員の雇用を守れる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1.売却益を得られる
会社売却(株式譲渡)は企業価値が認められることで、大きな金額が動きます。
中小企業なら社長自身が100%株を保有しているケースが多いので、その分社長に売却益が入るでしょう。
従業員や役員に株を渡しているケースでは、お世話になった方達にも利益をもたらします。
会社から離れた後の人生でもお金は必要ですから、大金が入るのは大きなメリットと言えるでしょう。
メリット2.個人保証を解除できる
会社を売却すると、個人保証や担保提供を解除できます。
個人保証とは、融資を受ける際に経営者個人が会社の連帯保証人となることです。
会社が倒産してしまった場合でも経営者が返済しなければいけません。
個人保証がネックとなり、「息子や娘に引き継ぎさせたくない…」と考える社長も多いですよね。
しかし会社売却(株式譲渡)では通常 個人保証・担保提供が解除され、買い手が肩代わりします。
※個人保証は自動的に解除されないため、あらかじめ金融機関や買い手と交渉しておく必要があります。
メリット3.従業員の雇用を守れる
「せっかく育てた会社を畳まなければならない、苦労を分かち合った従業員も辞めてもらうしかない…。」
その悩み、会社売却なら解決します。
会社売却(株式譲渡)は廃業とは異なり会社自体は存続しますので、従業員はそのまま働けます。
従業員はあらかじめ労働条件について説明を受け、同意してから買い手企業への移籍が成立する仕組みです。
大切な従業員の生活も守れるのは、会社売却(株式譲渡)の魅力でしょう。
会社売却(株式譲渡)のデメリット
会社売却(株式譲渡)にはメリットだけでなくデメリットもあります。
- 一定期間、事業に関わらなければいけない
- 同じ分野でビジネスできなくなる
- 買い手探しに時間と手間がかかる
メリットだけでなくデメリットも確認した上で、準備に取り掛かったほうがよいでしょう。
デメリット1.一定期間、事業に関わらなければいけない
会社売却(株式譲渡)さえすれば、自由な生活が待っている…という訳ではありません。
「会社売却後も事業に関わらなければいけない」という規則が定められる場合も考えられます。
この規則は「ロックアップ」や「キーマン条項」と呼ばれます。
ロックアップを理解した上で契約を進めないとトラブルの原因になってしまいます。
ロックアップの目的は「重要人物(キーマン)が抜けてしまうことで、事業がうまく回らなくなる事態を避ける」ことです。
せっかく多額の投資をしたのに、思った以上に利益を得られないとなっては買い手側も困りますよね。
ロックアップでは特定の人物の退職を事前に防ぐことができます。
期間は一般的に1〜3年が設定されます。
- リーダーシップを発揮している経営者
- 他にはない技術を持つ職人
- 優秀な役員
一定期間事業に関わる必要があり、途中で辞めると賠償金が請求される可能性もあります。
会社を売却して新しい事業を立ち上げようと思っている方は注意してください。
デメリット2.同じ分野でビジネスができなくなる
会社売却後すぐには、同じ分野でビジネスができなくなります。
これは「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」と呼ばれ、ライバル会社への転職や、関連会社の設立を禁止するものです。
買い手企業としては、ノウハウや機密情報が漏れるのは避けたいでしょう。
「元社長が若手社員と顧客を引き連れて、近所に会社を設立した」などというトラブルは過去によくあり、訴訟問題にまで発展したケースもあります。
そのため会社売却前に「競業避止義務」を定め、違反した場合は何らかのペナルティを課すように盛り込まれることが多くなっています。
デメリット3.買い手探しに時間と手間がかかる
売り手企業の悩みのひとつは「どうやって買い手企業を探せばいいのか?」ですよね。
せっかくなら自社の事業内容を深く理解し、会社や従業員のことをよく考えてくれる経営者と出会いたいですよね…。
ですが、実際は簡単に売却先は見つかりません。
会社売却(株式譲渡)は通常、半年はかかると言われており、長期間 買い手候補と交渉をしなければいけません。
会社を経営しながらの交渉は強いストレスがかかるため、「やはり会社売却は辞めて、廃業する」と途中で挫折する方もいるほどです。
会社売却をするなら、買い手探しに時間と手間がかかることを頭に入れておきましょう。
会社売却(株式譲渡)を成功させるためのポイント
メリットとデメリットを理解した上で会社売却を決意したなら、成功させたいですよね。
ここでは会社売却を成功させるための3つのポイントを紹介します。
- 自社の強みを洗い出しておく
- シナジー効果の高い買い手を探す
- 売却の専門家からサポートを受ける
しっかり確認し、後悔しないように対策を取りましょう。
ポイント1.自社の強みを洗い出しておく
高額での売却を考えるなら、自社の強みを磨いておく必要があります。
買い手企業としても大きなお金が動く訳ですから「投資以上のリターンが見込めるか?」をチェックしなければいけません。
- 財務状況
- 自社製品
- 地域性
- 従業員
前もって”ウリ”となる部分を明確にしておかなければ、買い手は価格を安く見積もったり、別の企業を探したりするでしょう。
自社の強みを最大限にアピールできれば、希望にあった条件で売却できる可能性が上がります。
ポイント2.シナジー効果の高い買い手を探す
会社売却では、双方にとって有益なWin-Winの関係を目指せます。
自社のみで行うよりも価値が大きくなれば「シナジー効果が得られた」と言えます。
- お互いが販売経路を拡大し、売上アップ
- 既存製品に付加価値をつけて利益率アップ
- 工場の稼働率が上がりコスト削減につながる
- 技術力が集結して新商品を開発する
- 異業種のノウハウを知り、新規参入のリスクを抑える
シナジー効果が期待できれば、買い手は契約したいですし、高値をつけようとするでしょう。
手を組むことで「高いシナジー効果を生み出せるのか?」を確認しましょう。
ポイント3.売却の専門家からサポートを受ける
会社売却には財務・法務・労務など複雑な分野も関わります。
自社のみで進めてしまうと知識不足で、不利な条件を提示されるかもしれません。
会社売却のノウハウを持った専門家のサポートを受けることをおすすめします。
主な相談先としては以下が挙げられます。
- 金融機関
- 税理士
- 中小企業診断士
- M&A専門機関
- 事業引継ぎ支援センター
- 商工会議所
それぞれコストや得意分野など特徴が異なるため、自社に合った相談先を探してみてください。
まとめ
今回は会社売却のメリットとデメリット、成功させるためのポイントを解説しました。
- メリット1.売却益を得られる
- メリット2.個人保証を解除できる
- メリット3.従業員の雇用を守れる
- デメリット1.一定期間、事業に関わらなければいけない
- デメリット2.同じ分野でビジネスできなくなる
- デメリット3.買い手探しに時間と手間がかかる
大きなメリットを得つつデメリットも対策しておきたいなら、専門家への相談がおすすめです。
自社だけでは分からない強みをピックアップしてくれたり、よりシナジー効果の高い買い手を探してくれたり、と強い味方になってくれるはずです。
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