【事業承継・M&A】PER(株価収益率)とは?計算方法から数値の見方まで解説!
PER(株価収益率)は企業の価値を判断する指標のひとつです。
M&Aを検討している場合や投資対象を探す場合によく使われます。
そこで今回はPER(株価収益率)の目的・計算方法や数値の見方を分かりやすく解説します。
PER(株価収益率)とは
PER(Price Earnings Ratio)とは、株価が割安か割高を判断する指標のひとつです。
簡単に言うと、1株あたり純利益の何倍になっているかを知ることができます。
PER(株価収益率)の数値が低ければ割安、高ければ割高となります。
PER(株価収益率)の目的は主に2つあります。
- M&A候補の企業価値・相場を確認する
- 投資金額を何年で回収できるか概算する
それぞれ見ていきましょう。
目的1.M&A候補の企業価値・相場を確認する
M&Aの買い手としては、できる限り低い金額で将来性のある会社を譲り受けたいですよね。
しかし、「ただ安いから」というだけでは将来性が見込めず、投資額に見合ったリターンが得られない可能性があります。
M&A候補先の価値や同業他社の相場を把握した上で、M&Aを成約するかどうかを考えなければいけません。
企業価値を算定するには専門的な知識が必要で、通常はM&A仲介会社やアドバイザーに依頼します。
しかし、PER(株価収益率)は比較的シンプルな計算方法のため、自社でも計算可能です。
(※計算方法についての詳細は後述します。)
M&Aの具体的な話を相手に持ち出す前や社内での比較など、検討段階でPER(株価収益率)を使うと良いでしょう。
目的2.投資金額を何年で回収できるか概算する
PER(株価収益率)は、投資した金額を何年程度で回収できるかを表すこともできます。
PER(株価収益率)の計算方法は「PER(株価収益率) = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)」です。
1株あたりの純利益とは、当期純利益を発行済株式総数で割ることで算出されます。
つまり1株あたりでどのくらいの純利益を上げているかを表しています。
例えば株価が1,000円・1株あたりの純利益が100円の会社なら、PERは10倍(1,000 ÷ 100)です。
この会社に投資すれば10年で回収できる、と予想します。
注意しなければならないのは、純利益が10年間同じとは限らない点です。
増える年もあれば減ってしまう年もあるでしょう。
PER(株価収益率)の数値はあくまで「◯年で投資資金を回収できる可能性がある」というだけなので、目安として考えましょう。
注意点:PBR(株価純資産倍率)もチェックしよう
M&Aを検討中の方、PER(株価収益率)だけで決めるのは危険です。
PER(株価収益率)はひとつの指標であり、他にも企業価値を判断する指標はいくつかあります。
特にPER(株価収益率)と合わせて確認してほしいのが、PBR(株価純資産倍率)です。
PBR(株価純資産倍率)も株価が割安なのか割高なのかを示す指標です。
ふたつの異なる点は、PER(株価収益率)の基準は会社の利益で、PBR(株価純資産倍率)の基準は会社の資産という点です。
PBR(株価純資産倍率)の計算方法は以下の通りです。
PBR=1を目安とし、数値が大きければ割高、小さければ割安となります。
企業価値を正確に評価するのは難しいため、複数の指標をチェックし、M&A専門家にも相談するとよいでしょう。
PER(株価収益率)の計算方法
ここではPER(株価収益率)の計算方法を説明します。
PER(株価収益率)は、株価を1株あたりの純利益で割って求めます。
1株あたり利益(EPS)は実績値よりも予測値を用いることが一般的です。
基本的には株価が上がるとPER(株価収益率)も上がり、株価が下がるとPER(株価収益率)も下がります。
PER(株価収益率)の見方
PER(株価収益率)を計算した結果をどのように見ればよいのでしょうか。
PER(株価収益率)の正しい見方を知っておけば、「M&Aを進めるべきか」の判断に役立ちます。
- 会社の利益に対して割高か割安か
- 同業他社と比較してどうか
- 過去から将来を予想してみる
判断を誤らないために、それぞれ確認していきましょう。
会社の利益に対して割高か割安か
PER(株価収益率)は業種や国によって異なるため、何倍なら割高(割安)と言い切ることはできません。
例えば日本取引所グループによると、業種ごとのPER(株価収益率)はこのように差があります。
- 銀行業:9.6
- 不動産業:13.8
- 水産・農林:15.1
- 食料品:21.4
- 情報・通信業:22.4
- 輸送用機器:29.5
- 小売業:30.5
- サービス業:37.1
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しかし日本国内の企業であれば、一般的に15倍が目安と言われています。
東証1部に上場するすべての銘柄を平均した数値がおおよそ15倍になるためです。
PER(株価収益率)が15倍以上なら割高、15倍未満なら割安とざっくり考えてよいでしょう。
なお、純利益が赤字だとマイナスが出る場合もあります。
マイナスだから割安という訳ではなく、突発的な損失が発生した可能性が考えられます。
PER(株価収益率)の数値だけでなく財務諸表なども確認しましょう。
同業他社と比較してどうか
PER(株価収益率)を確認するなら、同業他社も計算しましょう。
前述の通り、業種によってPER(株価収益率)は大きく変わります。
M&A候補が小売業(平均30.5倍)だとして、サービス業(平均37.1倍)や食料品(21.4倍)と比較しても正しい判断はできないでしょう。
同じ業種なら利益率や成長率も似ているケースが多いため、候補だけでなく複数の会社を計算してみるのがおすすめです。
過去から将来を予想してみる
PER(株価収益率)の数値は状況によって大幅に変わります。
今期と同じ利益がこれから毎年ずっと得られる訳ではありません。
直近1年のPER(株価収益率)だけでなく、過去数年間を計算することで会社の成長性・安定性が見えてくるはずです。
- 一時的に利益が高くなっているだけなのか?
- 利益は安定しているのか?
- 成長性を見込まれているのか?
将来の利益がどうなってしまうか正確には分かりませんが、過去のPER(株価収益率)から予想してみましょう。
まとめ
今回はPER(株価収益率)の目的・計算方法や数値の見方を解説しました。
PER(株価収益率)は株価が割安か割高を判断する指標のひとつです。
主な目的は2つ、M&A候補の企業価値・相場を確認することと、投資金額を何年で回収できるか概算することです。
計算方法は「PER(株価収益率) = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)」とシンプルです。
判断基準として精度を上げるために、以下の点も確認しましょう。
- 会社の利益に対して割高か割安か
- 同業他社と比較してどうか
- 過去から将来を予想してみる
PER(株価収益率)はM&Aをスムーズに行うための重要な指標なので、ぜひ理解しておきましょう。
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