【ものづくり補助金】飲食店で活用できる?押さえておくべきポイントや採択事例を解説!
更新:2023/03/29
公開:2022/08/01
飲食店も「ものづくり補助金」の対象です。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言い、業種は限定されていません。
とは言え、応募すれば採択されるという訳ではないため、十分な準備が必要です。
そこで今回は、飲食店がものづくり補助金を受けるために知っておきたいポイントや採択事例を解説します。
目次
ものづくり補助金は飲食店でも活用可能
「ものづくり補助金」は名称から製造業を対象とした補助金と思いがちですが、業種に指定はありません。
日本国内に店舗や本社を構えていれば、飲食店でも応募できます。(一部例外あり)
ものづくり補助金を飲食店が申請する際の要件と補助金額
要件
ものづくり補助金の申請要件は下記のようなものがあります。
- 日本国内に本社及び事業実施場所を有する中小企業者等であること(グローバル市場開拓枠において一部例外あり)
- 事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払等の全ての事業の手続きが完了する事業であること。
- 事業計画期間において、「給与支給総額を年率平均1.5%増加する」、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準とする」及び「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加する」事業計画を策定することが必要
- 申請時点で、申請要件を満たす賃金引き上げ計画の策定している
補助金額
補助上限金額は従業員の人数や申請枠によって異なりますが、最大5,000万円、補助率2/3または1/2が受けられます。
補助対象には以下のようなものが含まれます。
- 機械装置・システム構築費
- 運搬費
- 原材料費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費 等
新しい調理機器なども費用を抑えつつ購入できるため、ぜひ活用したいところです。
飲食店がものづくり補助金を申請する上でのポイント
ものづくり補助金の審査項目は4点です。
- 技術面
- 事業化面
- 政策面
- 炭素生産性向上の取組等の妥当性(※グリーン枠のみ)
その他に加点項目も定められています。
ものづくり補助金で採択されるには、審査項目を踏まえてアピールする必要があります。
ここではものづくり補助金を申請する上でのポイントを紹介します。
参考:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
ポイント1.実現できる技術力をアピール
革新的な事業を実現できる技術力を説明します。
「新製品・新サービスが誰でもできることではないこと」や「開発する上での課題とその解決方法」などをまとめましょう。
あなたの飲食店にも、きっと他のお店にはない強み・特別な個性があるはずです。
「独自技術による製法」「経験で培ったノウハウ」などを洗い出し、独自性を活かしたメニュー・商品を考えてみましょう。
なかなか思いつかない場合は第三者に相談するのもひとつの手です。
商工会議所や東京都中小企業振興公社では飲食店を支援する施策が用意されています。
参考:飲食店向け施策一覧|がんばる飲食店応援サイト! | 経営相談 |東京商工会議所
ポイント2.事業計画の妥当性をアピール
申請には事業計画書を提出します。
採択されたいがために高い数値目標を設定しても「実現不可能」と判断されれば通りません。
妥当性のある事業計画、つまり実際に実行できて、経営改善が見込める事業計画を練りましょう。
例えば市場ニーズの調査を行い、現実的な数値目標を設定します。
「市場のニーズを満たすには、新しい設備が必要である」と論理的に説明できれば、採択につながりやすくなるでしょう。
事業計画書は基本的に経営者自身で考えて書くものですが、初めての場合は時間がかかってしまいます。
ある程度形になったら、税理士や中小企業診断士など専門家にブラッシュアップしてもらいましょう。
収支計画や資金繰りといった金銭面でもアドバイスしてくれるため、説得力が増します。
ポイント3.政策とのマッチングをアピール
ものづくり補助金の目的は「中小企業・小規模事業者の生産性向上」です。
これは国の政策である「地域経済の活性化」につながり、貢献する事業者は有利と言われています。
実際、政策加点として「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」が挙げられています。
「パートナーシップ構築宣言」とはサプライチェーン全体の共存を宣言する取り組みです。
取引先との連携が強まれば中小企業・小規模事業者の倒産を防止でき、最終的には国全体の成長力強化となります。
ものづくり補助金を活用して、地方・国の経済にどのように貢献できるかを考えてみましょう。
ものづくり補助金の飲食店での採択事例
ものづくり補助金の採択事例は、ものづくり補助金総合サイトの「成果事例検索」で確認できま
す。
飲食店の事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:成果事例検索
事例1:合名会社 鶴来家
合名会社 鶴来家は創業約200年の老舗日本料理を運営しています。
平成28年12月22日、発生した糸魚川市大規模火災により、店舗が全焼しました。
再建と同時に、地元 糸魚川市の活性化も目標に掲げ、新しい調理機器を購入するためにものづくり補助金を活用しました。
調理機器の導入により真空パックでの保存が実現し、インターネット販売も可能となりました。
地元の食材を生かした商品開発を進めています。
事例2:日本料理じょう一
日本料理じょう一は仕出し弁当や定食を提供しています。
長女のパティシエ経験を活かし、地元や県内の卵などを使ったシフォンカステラ・プリンの商品化に取り組んでいました。
しかし人手が足りず、品質を保つのが難しいとして、ものづくり補助金によって加圧蒸気焼成機を導入します。
新設備によって調理時間を短縮でき、品質をキープしたまま大量生産が可能になります。
さらに看板料理のウナギ料理の蒸し処理にも応用できるため、店全体で効率改善・品質向上となりました。
事例3:有限会社ケンズダイニング
有限会社ケンズダイニングは地元 宮城の食材を使い、居酒屋を経営しています。
ものづくり補助金でフリーザーシステム「凍眠」を導入し、店舗で仕込んだ料理を冷凍、一般家庭や飲食店への販売を開始しました。
さらに、地元の生産者・飲食関係の同業者と協力し、食品加工工場の建設にも着手しました。
自社だけでなく地元の事業者の売上にも貢献していくようです。
事例4:さわのや
さわのやの人気商品は「急速冷凍じゅーしぃおにぎり」です。
受注増加に伴い、おにぎりの成形を機械化しましたが、袋詰めなどは手作業のため、結局大量生産が実現できませんでした。
そこで、ものづくり補助金を使って設備を導入しました。
自動包装が可能となり、毎分30個が生産できるようになります。
大量注文も受けられるようになった上、製造ロスもゼロとなり、作業員の負担も軽減しました。
地元には大型クルーズ船の寄港が計画されているため、飲食店・宿泊施設での需要も掘り起こす予定です。
事例5:株式会社よしむら
株式会社よしむらは手打ちそば店などを経営してきました。
手打ちそば職人のノウハウを活かす新しい事業を検討し、自家焙煎の国産そば茶スイーツを開発することにします。
ものづくり補助金で「国産そば茶の自家焙煎方式の開発」「製菓用オーブンの購入」「急速冷凍・保管方式の導入」を行いました。
試作品が完成したため、百貨店への販路拡大、新ブランド設立を進めています。
まとめ
今回は、飲食店がものづくり補助金を受けるために知っておきたいポイントや採択事例を解説しました。
名称から製造業のみが対象と思いがちですが、日本国内に店舗や本社を構えている飲食店でも応募できます。
機械装置・原材料費・外注費なども補助されるため、費用を抑えつつ新商品・新サービスを展開したい経営者にとっておすすめの補助金制度です。
採択の確率を上げるには以下のポイントを押さえておくべきです。
- ポイント1.実現できる技術力をアピール
- ポイント2.事業計画の妥当性をアピール
- ポイント3.政策とのマッチングをアピール
いきなり事業計画書にまとめるのは難しいと思いますので、まずは採択事例の確認や第三者への相談をおすすめします。
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