【事業承継・M&A】中小企業はどのように事業承継を進めると良いのか?ポイントを解説!
事業承継を検討している中小企業経営者の皆さん、「どこから手をつければいいのか…」と悩んでいませんか。
そこで今回は事業承継の流れに沿って、押さえておくべきポイントを紹介します。
目次
ステップ1.事業承継に向けた準備を始める
一般的に、中小企業の事業承継は親族・社内など身内の問題と捉えがちです。
そのため「外部に相談できない」と考える経営者も多いのですが、自社のみで取り組むには非常に難しいのが現状です。
事業承継は複雑な手続きを含み、後継者の育成にも時間がかかります。
専門家や支援機関など相談先を調べ、まずは話を聞いてみるのがおすすめです。
ポイント:事業承継について学ぶ
中小企業庁は事業承継に関する情報を無料公開しています。
進め方や補助金制度なども詳しく説明されているため、一度目を通しておくとよいでしょう。
他にも、公的な支援機関として「事業引継ぎ支援センター」や「よろず支援拠点」などがあります。
「よろず支援拠点」では、事業承継はもちろん売上拡大や経営改善などについても無料相談できます。
参考:よろず支援拠点全国本部
ステップ2.事業承継の方法を選ぶ
事業承継は、引き継ぐ先によって3つに分類されます。
- 親族内承継:息子・娘・妻など親族へ引き継ぐ
- 親族外承継(社内承継):従業員・役員に引き継ぐ
- M&A(社外承継):社外の第三者(企業や経営者)へ株式譲渡・事業譲渡
中小企業では親族内承継が一般的です。
「関係者から受け入れられやすい」「後継者を早く決められ、その分教育も早く始められる」といったメリットがあります。
しかし親族に経営の資質・意欲を併せ持つ候補がいるとは限りません。
親族外承継では親族内承継と比べて選択肢が多く、ふさわしい後継者が見つかるかもしれません。
また、M&Aでは会社売却の利益を得られるため、引退後の生活に余裕が持てます。
「誰に引き継ぐか」「どのように引き継ぐか」、後悔しないよう検討すべきです。
ポイント:承継5年前には後継者育成を始める
事業承継後も後継者にひとつひとつ指示しなければいけないなら、あなたが引退する意味がありません。
後継者は、経営知識だけでなく、企業理念・経営方針や取引先・従業員とのコミュニケーションについても学ぶ必要があります。
独り立ちさせるための教育には、5年〜10年かかるでしょう。
現経営者は引退したい時期から逆算して後継者を育成しなければなりません。
後継者の了承を得たら、J-Net21のページを参考に教育の計画を立てましょう。
参考:後継者を育成するには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか? | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
ステップ3.経営資源を明確にする
事業承継では経営資源を明確にすることが重要です。
事業承継で引き継ぐものは株式・不動産だけではありません。
- 借り入れ、負債
- 経営者の信用
- 経営理念
- 従業員の技術やノウハウ
- 取引先との信頼関係
- 顧客情報
- 知的財産
財務状況や将来性などを後継者候補と共有し、今後の課題を洗い出します。
事業承継としてM&Aマッチングを選ぶ場合は「磨き上げ」も行います。
「磨き上げ」とは企業価値の向上を意味します。
自社の魅力を引き上げることでM&Aの成約率や最終的な売買価格にも大きな影響を及ぼします。
ステップ4.事業承継計画を作成する
事業承継についてざっくりと方向性が決まったら、次は事業承継計画に落とし込みます。
事業承継は長くて10年の年月がかかるため、具体的なスケジュールをまとめておかなければ失念してしまいます。
例えば親族外承継の場合、親族内承継と比べ役員・従業員に理解してもらいにくい傾向があります。
説明無しで経営権を譲ってしまえば、反発によってキーマンが離職してしまうかもしれません。
そうなれば商品力・開発力が低下し、業績の悪化につながるでしょう。
会社を譲って数年後、廃業・倒産となるリスクが考えられます。
事業承継計画書に「いつ」「誰が」「何を」するのか、書き込んでいきましょう。
ポイント:ひな形を利用する
中小企業庁のホームページから事業承継計画の記入例・記入用ファイルがダウンロードできます。
10年目まで書き込めるため、情報整理におすすめです。
- 株式贈与を予定している時期
- 経営理念
- 事業の中期目標
- 社内にいつ後継者を公表するか
- 金融機関や取引先にいつ紹介するか
後継者と話し合い、決めていきましょう。
弁護士・税理士・中小企業診断士などの専門家にも相談しつつ、項目を埋めていくのがおすすめです。
参考:中小企業庁:事業承継ガイドライン 20問20答 問18
ステップ5.事業承継を実行する
事業承継計画に合わせて経営権の譲渡や株式譲渡などを行います。
この段階では法的な手続きが必要となるシーンも多いため、弁護士・税理士・公認会計士などの専門家に相談しながら進めましょう。
ポイント:節税対策を行う
親族内承継においては贈与・相続といった形で事業承継を進めるのが一般的です。
この場合、贈与税・相続税が発生し、後継者が支払う必要があります。
納税金額は高額のため、後継者個人ではまかなえずに会社の資金を利用することになるかもしれません。
節税対策として「相続時精算課税贈与」「事業承継税制」を知っていれば、後継者・会社の負担は軽減されます。
例えば「事業承継税制」では一定の条件を満たすと贈与税・相続税を納税猶予が認められ、最終的に100%免除となる可能性があります。
細かい条件が定められているものの、活用できれば大きな節税効果を見込めるでしょう。
後継者の負担を減らすために、税理士などの専門家のサポートを受けましょう。
まとめ
今回は事業承継の流れに沿って、押さえておくべきポイントを紹介します。
- ステップ1.事業承継に向けた準備を始める→事業承継について学ぶ
- ステップ3.事業承継の方法を選ぶ→承継5年前には後継者育成を始める
- ステップ3.経営資源を明確にする
- ステップ4.事業承継計画を作成する→ひな形を利用する
- ステップ5.事業承継を実行する→節税対策を行う
事業承継のステップとポイントを理解し、専門家・金融機関などからアドバイスを受けながら進めれば、大きな失敗は防げるでしょう。
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