【事業承継・M&A】事業承継とは?基礎知識や押さえておくべきポイントを解説!
中小企業の経営者にとって「後継者探し」は課題のひとつです。
会社の引継ぎ(=事業承継)をスムーズに進めるためには、「事業承継とは何か」を理解し、早い時期から取り組むことが大切です。
そこで今回は事業承継の基礎知識・押さえておくべきポイントを解説します。
事業承継の基礎知識
まず事業承継の基礎知識を確認しましょう。
事業承継で引き継ぐもの
事象承継で引き継ぐものはヒト・モノ・カネ・情報の4つに分けられます。
これまで育ててきた会社を円滑に引き継ぐために、具体的にどのような経営資源があるかを確認しましょう。
- 優秀な人材
- 設備
- 経営資金
- 株式
- 不動産
- ノウハウ
- 特許
- 取引先、顧客データ
- 経営理念
- ビジネスモデル
「何を引き継ぐか」「どのように引き継ぐか」を考えるために、自社の現状を事業承継計画(※後述します)にまとめましょう。
事業承継の種類
事業承継には大きく分けて3つの方法があります。
- 親族内承継
- 親族外承継(社内承継)
- M&A(第三者承継)
それぞれメリット・デメリットが存在するため、自社に合うものはどれか確認しましょう。
親族内承継
「親族内承継」とは息子・娘といった親族へ経営権を渡すことを言います。
中小企業においては特に多いパターンです。
メリットは本人の資質・性格を十分に理解した上で頼める点です。
ただし、親族に適任者がいないケースや引き継ぐ意思がないケースもあります。
親族外承継(社内承継)
「親族外承継(社内承継)」は血縁関係がない役員・従業員に引き継ぐ方法です。
経営者として能力が高い人材へ引き継ぐことができるため、会社の成長が見込めます。
しかし現経営者が借入時に保証人となっている場合、後継者も保証人にならなければいけない可能性があります。
M&A(第三者承継)
「M&A(第三者承継)」は親族・社内どちらにも後継者がいない場合に有効です。
同業者・取引先や他分野の経営者に株式譲渡や事業譲渡を行います。
デメリットは、自社のみでは希望条件を満たす買い手を見つけることが困難という点です。
スムーズに進めるためには専門家の協力が欠かせません。
事業承継と事業継承の違い
事業承継(じぎょうしょうけい)と似た言葉に「事業継承(じぎょうけいしょう)」があります。
「承継」と「継承」は同じように見えますが、少しだけ意味が異なります。
「承継」は「地位や精神・仕事を引き継ぐ」という意味で、「継承」には「義務や権利を受け継ぐ」という意味です。
承継は無形資産も引き継いでいることが分かります。
そのため事業の引き継ぎを行うケースでは基本的に「事業承継」が使われます。
実際に、事業引き継ぎに関する法律にも承継のほうが多く記載されており、中小企業庁の補助金も「事業承継・引継ぎ補助金」という名称です。
事業承継で押さえておくべきポイント
事業承継では現経営者が培ってきた経営資源を引き継ぐため、手続きが煩雑です。
すべて終わってから「こうすればよかった」「ああすればよかった」と後悔することになるかもしれません。
安心して引退するために、事業承継で押さえておくべきポイントをあらかじめチェックしましょう。
- ポイント1.事業承継計画書を早めに作成する
- ポイント2.後継者育成を始める
- ポイント3.専門家のサポートを受ける
- ポイント4.事業承継補助金を利用する
ポイント1.事業承継計画書を早めに作成する
事業承継は早くても1〜2年、長いと10年かかると言われています。
現状の把握・後継者の育成・買い手企業の調整などにかなりの期間を要するため、できる限り早く事業承継計画書に着手しましょう。
事業承継計画書は自社の強みや承継の時期・経営課題などを書き込み、現状を把握する書類です。
事業承継計画書サンプルは中小機構のサイトからダウンロードできます。
自社のみで作成するのは難しいため、M&A業者・支援機関などに相談するとよいでしょう。
参考:中小企業経営者のための事業承継対策|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
ポイント2.後継者育成を始める
後継者候補がすでに経営者としての知識・能力を持っているとは限りません。
事業を引き継いだ後に十分な利益を獲得できなければ、廃業の可能性が出てきてしまいます。
これまで育ててきたブランド価値や高度な技術もなくなってしまうため、大きな損失となるでしょう。
後継者育成で用いられる方法には次のようなものがあります。
自社や後継者の状況に合った方法を採用しましょう。
- 現経営者が直接指導する
- 各部門をローテーションで経験させる
- 幹部クラスの役職に就かせる
- 他社で勤務させる
- 関連会社・子会社の経営を任せる
- セミナー・スクールで学ばせる
詳しくはJ-Net21の「後継者を育成するには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか?」をご確認ください。
後継者候補を育成し、事業低迷のリスクを抑えましょう。
参考:後継者を育成するには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか? | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
ポイント3.専門家のサポートを受ける
事業承継には相続税・贈与税など法律知識に加えて、専門的な知識が求められます。
特に初めての事業承継では「どのような方法で事業承継すればいいのか」「支援してくれる専門家を見極める方法は?」など不安を抱くでしょう。
自社のみで対処するとトラブルになりやすいため、外部のサポートを受けることをおすすめします。
事業承継の主な相談先は以下の通りです。
- 税理士
- 弁護士・行政書士
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所
- 金融機関
- M&A仲介業者・M&Aコンサルティング会社
事業承継の悩みを専門家に相談しながら、準備に取りかかりましょう。
ポイント4.事業承継補助金を利用する
事業承継では登録免許税・不動産取得税・贈与税や専門家への報酬など大きな出費が予想されます。
中小企業の場合は資金が限られていることも多く、経営に大きな影響を与えてしまうでしょう。
そこで中小企業庁では、事業承継をきっかけに経営革新・事業転換を行う中小企業を支援しています。
「事業承継・引継ぎ補助金」では最大600万円の補助を受け取れます。
- 経営革新事業:補助率2/3、補助上限600万円
- 専門家活用事業:補助率2/3、補助上限600万円
- 廃業・再チャレンジ事業:補助率2/3、補助上限150万円
また、東京都では最大200万円(助成率2/3)の「事業承継支援助成金」が実施されています。
事業承継の金銭的負担を軽くするため事前に確認しておきましょう。
参考:中小企業庁:令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の公募を開始しました
まとめ
今回は事業承継の基礎知識・押さえておくべきポイントを解説しました。
事業承継とは経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を後継者に引き継ぐことを指します。
中小企業では親族内承継がメジャーですが、親族外承継(社内承継)やM&A(第三者承継)も行われます。
事業承継で押さえておくべきポイントは以下の3点です。
- ポイント1.事業承継計画書を早めに作成する
- ポイント2.後継者育成を始める
- ポイント3.専門家のサポートを受ける
- ポイント4.事業承継補助金を利用する
事業承継を成功に導くためにはできるだけ早く後継者探しに着手する必要があります。
自社だけで何とかしようとせず、専門家への相談をおすすめします。
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