【事業承継・M&A】事業承継コンサルティングとは?報酬相場や利用するメリットを解説!
更新日:2024/01/21
公開日:2022/07/10
事業の引き継ぎを検討しているなら専門家のサポートを受けるのが賢い選択です。
事業承継コンサルティングを依頼すると、計画の策定・補助金の申請などについてアドバイスしてくれます。
費用は高額なイメージがありますが、相場の紹介やメリットについてご説明します。
そこで今回は事業承継コンサルティングの概要・報酬相場・メリットについて解説します。
目次
事業承継コンサルティングとは?
事業承継には複雑な手続きが多く、自社内で完結するのはほぼ不可能です。
しかし後継者探しの段階から事業承継コンサルティングに相談するとスムーズに進められるでしょう。
事業承継コンサルタントは事業引き継ぎをさまざまな方面からサポートする専門家です。
事業承継の専門家
事業承継は専門的な対応が必要な場面も出てきます。
そのため、以下のような専門家が事業承継コンサルティングに所属しています。
- 税理士
- 行政書士
- 弁護士
- 中小企業診断士
- 社会保険労務士
他にも、「事業承継アドバイザー」「事業承継プランナー」「相続カウンセラー」など民間資格を持つ場合もあります。
事業承継コンサルティングの支援内容
具体的にどのような支援が受けられるのか、簡単にまとめてみました。
- 株価の試算(株価評価)
- 承継方法の提案(親族内承継・親族外承継・M&A)
- 事業承継計画書の作成
- グループ企業の再編支援
- 後継者の育成・研修プログラムの開発
- 補助金の申請準備
※コンサル会社や契約内容によって報酬が変わります。事前に問い合わせることをおすすめします。
事業承継コンサルの報酬相場
事業承継コンサルティングの報酬金額は依頼内容によって大きく異なります。
ここでは4つの依頼内容に分けて、大まかな報酬相場を説明します。
株価算定
事業承継で必要となるのが「株価算定」です。
一般的には公認会計士や税理士など税法務の知識に長けている専門家に依頼します。
株価算定には20万円〜40万円がかかり、加えて株価算定報告書の作成も依頼すると50万円以上になることもあります。
相続税の申告
相続税の申告を税理士に依頼する場合、報酬金額は遺産相続の0.5%〜1%が一般的です。
なお、報酬額が見積もり時よりも高くなることがあります。
- 土地の評価が複雑
- 申告期限まで時間がない
- 非上場株式がある
- 相続人が多い
複数の税理士に見積もりを依頼し、相場を確認したほうが安心です。
事業承継計画書の作成
引き継ぎをスムーズに進めるため、そして「事業承継税制」を受けるために必要なのが事業承継計画です。
現経営者からヒアリングを行い、現状の把握・将来のビジョンをまとめます。
事業承継計画書の作成のみなら10万円〜30万円で相場ですが、全体的なコンサルティングまで依頼すると100万円以上の料金が発生することもあります。
M&A支援
事業承継としてM&Aを選ぶ場合、マッチング(仲介)や交渉をサポートしてもらうのが一般的です。
M&A支援の報酬総額は企業規模などによって数百万円〜数千万円と差が開くため、事前に確認しましょう。
料金体系は「着手金」「月額報酬」「成功報酬」に分類されることが多いです。
成功報酬の金額には「レーマン方式」が使われることが多く、資産金額に応じて高額になります。
資産金額 | 報酬 |
---|---|
5億円までの部分 | 5% |
5億円を超え10億円までの部分 | 4% |
10億円を超え50億円までの部分 | 3% |
50億円を超え100億円までの部分 | 2% |
100億円を超える部分 | 1% |
事業承継コンサルを利用するメリット
事業承継コンサルティングに依頼すると費用がかかりますが、大きなメリットをもたらします。
- メリット1.業績悪化・廃業を防げる
- メリット2.後継者探しがスムーズになる
- メリット3.節税対策ができる
詳しく見ていきましょう。
メリット1.業績悪化・廃業を防げる
事業承継は綿密な計画なくして成功はできません。
例えば準備不足の状態で経営者の体調が崩れた場合、社内が混乱してしまうでしょう。
急遽、役員をしていた親族に事業を引き継いだとしても、経営知識やノウハウが十分でなく、的確な判断ができません。
結果的に会社の存続も難しくなってしまいます。
大切な会社を守るためには、時間をかけて現経営者・後継者候補がしっかり話し合うことです。
そして専門的な知識を有するプロの助言を受けながら事業承継計画の策定・実行をすることができれば失敗を防げるでしょう。
メリット2.後継者探しがスムーズになる
子や妻・社員に引き継ぐ気がない場合、説得できなかったり、了承してもらえても業績悪化になったりするケースがあります。
家族経営など小規模の会社なら廃業も選択できますが、多くの会社では従業員の雇用を守るために廃業は避けたいでしょう。
そんなときに事業承継コンサルはM&Aマッチングを支援してくれます。
独自のネットワークを有したM&A仲介会社も増えており、ふさわしい後継ぎを見つけられるでしょう。
さらに、後継者向けの教育(研修)サービスを提供しているコンサルも存在します。
親族や社内に後継者候補がいなくても、事業承継コンサルのサポートを受ければ後継者問題を解決できるでしょう。
メリット3.節税対策ができる
事業承継には贈与税・相続税が関わってきます。
利益を順調に伸ばしている会社ほど自社株の評価額が高くなるため、納税額も上がってしまいます。
贈与税(特例贈与財産用 特例税率)の税率を確認してみましょう。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
ケースによっては納税額が非常に高額になることが分かりますよね。
最悪の場合、納税で資金が尽き、事業が継続できない可能性も出てくるでしょう。
そこで節税対策が重要になってきます。
- 事業承継税制
- 不動産購入による自社株の評価引き下げ
- 相続時精算課税制度
例えば「事業承継税制」では一定の条件を満たせば納税猶予が始まり、最終的には免除になる可能性がなります。
事業承継税制を活用するには事業承継計画の提出や都道府県への申請が必要です。
特殊な手続きなので、自社内ですべてを行うのはハードルが高いでしょう。
後継者の負担を減らすため「どのような節税対策が使えるか?」「具体的に何をすればよいか?」を相談できる相手がいると安心です。
事業承継コンサルを利用するデメリット・注意点
様々な報酬体系がある
着手金の有無や報酬の算定方法(何を基準にどのように計算されるのか)は各会社によって異なりますので、よく確認するようにしましょう。
事業承継コンサルティングの専門家の選び方
実績や支援範囲
自社の分野や近い分野でのコンサルティング実績があるか、どこまでを支援してもらえるのか、合わせて確認するようにしましょう。
まとめ
今回は事業承継コンサルティングの概要・報酬相場・メリットについて解説しました。
事業承継コンサルは引き継ぎに関する手続きをサポートしてくれる専門家です。
相談・依頼できる内容は株価評価・事業承継計画の作成・補助金の申請など多岐にわたります。
報酬は依頼内容により、株価算定だけなら30万円程度、総合的なサポートなら100万円を超えます。
費用が高額と感じるかもしれませんが、費用以上のメリットを受けられる可能性が高いです。
- メリット1.業績悪化・廃業を防げる
- メリット2.後継者探しがスムーズになる
- メリット3.節税対策ができる
事業承継を成功させるために、事業承継コンサルを活用するのがおすすめです。
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