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【事業再構築補助金】事業計画書の審査・加点項目とは?

【事業再構築補助金】事業計画書の審査・加点項目とは?

更新日:2023/02/15

公開日:2022/02/09

今回は、事業再構築補助金の8回公募要領より、審査項目と加点項目についてご紹介したいと思います。

事業再構築補助金の審査項目とは?

事業再構築補助金の事業計画書には明確なフォーマットや様式が定められておらず、その点はやや不明瞭である事は事実ですが、一方で、計画書の中で記載すべき内容や、審査項目・加点項目が明確に示されている事もこの事業再構築補助金の特徴です。

採択される事業計画書を作成するには、以下の点を明確に取り入れることが重要です。

①補助対象事業としての適格性

まず、公募要領に示された1点目は、補助対象事業としての適格性です。

これは、別記事で詳しく説明した、補助対象事業の要件を満たしているかということと、補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%(グリーン成長枠については5.0%)以上の増加が見込めるかどうかということです。

もともと事業再構築補助金は、コロナにより大きく売り上げが減少した中小企業等に対して、事業の再構築を補助するための補助金です。


つまり、ここでのポイントは、

・コロナによって大きく売り上げが減少しているかどうか

・この補助金を受け、事業の売り上げをどれだけ増加させることが出来るか

・事業再構築で取り組む事業は3〜5年単位で持続的に付加価値増加が見込めるか

ということになり、補助を受けるに相応しいかどうかが具体的な審査基準になっているということです。


より詳細な補助対象要件は、公募要領に記載されており、事業再構築補助金のどの枠で申請するかによっても異なりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

②事業化点

次に、審査基準となるのが、事業化点です。具体的なものは公募要領に記載されていますので、
ここでは要点を抜粋してご紹介したいと思います。

1、事業実施のための人材や事務処理能力など体制が整っているか、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。

現在の財務状況や人事など総合的な観点から、補助事業が問題なく実施できるかが判断されます。そのため、事業計画書の中では社内外の実施体制や資金調達の確度等を記載する必要があります。

また、本補助金は基本的に後払いになるので、必要経費は一時的に事業者が負担することになります。もし金融機関などから融資を受けながら補助事業を行う際には、採択後問題なく金融機関から資金を調達できるかがポイントになります。


2、補助事業のターゲットや市場規模は明確か、ニーズがどれ程あるか、競合他社の動向を把握しているか

この審査項目は、補助事業のターゲットや市場調査が適切に行えているかどうか、そして補助事業を行うにあたって競合他社の動向がどの様なものかを適切に調査できているかを審査する項目になります。


3、補助事業の成果が、価格的・性能的に優位性や収益性を持ち、事業化に至るまでのスケジュールや実施方法が妥当かどうか、現状の課題点なども明確になっており、解決方法も妥当かどうか

この審査項目は、先程示した競合他社の動向など市場調査に基づいて、差別化できているかや優位性を有しているかを審査する項目になります。また、事業を実施する上で考えられる課題を明確にしているかどうか、どのようにそれを解決するのか記載する必要があります。


4、補助事業の費用対効果が高いか、その際今まで培ってきた事業の人材やノウハウ、技術等を活かし、効果的な取り組みとなっているか。

ここでは、補助事業の費用対効果、具体的には、補助金の投入額に対して増加が見込まれる付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性などが高いかどうかが審査項目となる。

そしてポイントなのが、その際、今まで培ってきた自社のノウハウや技術、人材などが強みとして活用されているかどうかという点です。


③再構築点

1、事業再構築指針に沿った取り組みであるか、また、リスクが高く大胆な事業再構築であるか。

この審査項目については、解釈は分かれるところだと思います。
なぜなら、リスクが高く、大胆=実現性が低く、高確率で失敗する、とも取れる可能性があるからです。

しかし、実現性については、適格性や事業化点についても触れられているので、実現性を保ちながら出来るだけ思い切った事業再構築が図られているか、通常の融資などでは実施できなかった事業再構築補助金だからこそ、取り組める事業内容になっているかが審査ポイントになっていると考えられます。


2、新型コロナウィルスの影響や足許の原油価格・物価高騰等の影響により深刻な売り上げの減少が認められ、事業再構築の必要があるのか。

こちらの審査項目も、今回の事業再構築補助金設置の目的に基づく項目になります。事業再構築補助金は、”新型コロナウィルス”の影響を受け設置された補助金になりますので、事業者がどれだけ新型コロナウィルスの影響を受けているのかどうかは、この補助金に採択されるための重要なポイントになります。また、直近公募回においては、原油価格・物価高騰等の影響も考慮されます。


3、市場のニーズや自社の強みを活かし、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの使い方として正しいかどうか。

この審査項目に関しては、市場のニーズや事業者の強みを活かした再構築になっているかを審査するとともに、その再構築事業がなぜその事業でなければならなかったのかの”選択”と、様々な事業に手を伸ばすのではなく、今回の補助事業にどれだけ”集中”できるのかを審査する項目になります。


4、先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルなどを通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

この審査項目は、先端的な技術ないし、新しいビジネスモデルを通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業かどうかの項目であり、今回の再構築事業が、革新的な新しい要素を持って、自社以外の事業に対して、対外的に影響力を持つかどうかを審査している項目になります。

5、新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

本事業が、感染症等も含めた危機にあっても、継続することが可能かどうか、を審査する項目になります。

④政策点

1、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。

国として後押ししている分野に設備投資を行い、参入することで、日本経済の構造転換に資するか審査をする項目です。

1、先端的なデジタル技術、低炭素技術の活用、経済社会にとって重要な技術の活用を通じて、日本の経済成長を牽引できるか。

ここでの、先端的技術が何を指すのか、具体的な指定は特にありません。ただ、経産省が推進しているDXであったり、中小企業白書に取り上げられているIT活用例としては、AIであったりIoTやRPAなどが記載されているので、そういった部分を参考にするのも手段として考えられます。


2、コロナが事業環境に与える影響を乗り越え、V字回復に有効な投資内容となっているか。

基本的には、こちらの項目も事業化点に記載している点と重なる部分があります。ただ、事業化点と異なる部分として、”V字”回復に有効な”投資”内容となっているかどうかの部分で、今回の再構築事業における設備投資などによって、売上高等がV字回復するのに相応しいかどうかの外部要因を踏まえた説得力が問われている審査項目になります。


3、ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより背別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

ここの審査項目も、事業化点の3項目と似ている点がありますが、再構築事業を他社と差別化した上で、グローバル市場においても地位を築く潜在性を持っているかという部分で、将来的にグローバル展開を視野に入れ、グローバル市場に置いても売上を見込めるかどうかを審査する項目になってます。


4、地域の特性を活かして、高い付加価値を作り、地域の事業者などに対して、経済的に波及効果を及ぼし、雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業になることが期待できるか。

ここでのポイントは、地域の特性を活かしているか、雇用の創出や地域の経済に良い影響を及ぼせるかで、再構築事業が拡大し、ただ売上を立てるだけでなく、その地域の経済にとって良い影響を及ぼせるかが審査項目となっています。


5、異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを通して、サービスを提供する場合など、複数の事業者が連携して取り組むことにより、高い生産性を期待できるか。

もし、再構築事業が他者と連携をとって取り組む事業であった場合、その連携がどれだけ生産性を向上させ、経済に波及的効果を埋めるかが審査項目となります。


⑤グリーン成長点(グリーン成長枠に限る)

グリーン成長枠については、上記の審査項目に加えて、グリーン成長点という審査項目があります。

(共通)
1、事業再構築の内容が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に
資する取組となっているか。

(研究開発・技術開発計画書を提出した場合)
2、研究開発・技術開発の内容が、新規性、独創性、革新性を有するものであるか。
3、研究開発・技術開発の目標が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題に基づき適
切に設定されており、目標達成のための課題が明確で、その解決方法が具体的に示されて
いるか。
4、研究開発・技術開発の成果が、他の技術や産業へ波及的に影響を及ぼすものであるか。

(人材育成計画書を提出した場合)
2、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する事業再構築を行
うために必要性の高い人材育成を行う計画となっているか。
3、目標となる育成像や到達レベルの評価方法などを含め、具体的かつ実現可能性の高い計
画が策定されており、また、人材育成管理者により、その進捗を適切に把握できるものと
なっているか。
4、人材育成を通じて、被育成者が高度なスキルを身につけることができるものとなってい
るか。また、身に着けたスキルを活用して、企業の成長に貢献できるか。

事業再構築補助金の加点項目とは?

事業再構築補助金には、上記の審査項目の他、加点項目というものも存在します。

審査項目と加点項目の主な違いは、加点項目に関しては、”必須ではない”ということです。

まずは、審査項目をしっかり満たす事業計画書を作る必要があることは言うまでもないですが、もしこの加点項目も満たせるのであれば、しっかりとアピールしておきたい項目になります。

そして、第8回に向けた公募要領から抜粋した項目をご説明しますが、今回の加点項目に関しては、どの項目に関しても、エビデンスとなる添付資料を提出する必要があり、その添付資料と各要件が合致した場合のみ加点されますので、ご注意いただければと思います。


①2021 年 10 月以降のいずれかの月の売上高が対 2020 年又は 2019 年同月比で 30%以
上減少していること


③指定の要件を満たし、最低賃金枠に申請すること。

最低賃金枠申請の事業者のみが対象の要件となります。


④経済産業省が行うEBPMへの取り組みに対して、採否に関わらず継続的な情報提供が見込まれるかどうか。

EBPMとは、Evidence-Based Policy Makingのことで、今回の補助金の採否に関わらず、継続的に自社の財務状況などを情報提供することになります。採否に関わらずと言うことで、不採択となった場合でも、その事業の財務状況を提供する義務が生じます。


⑤「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者

大規模賃金引上枠、グリーン成長枠が対象となります。

⑥事業再生を行う者に対する加点

下記の場合に必要書類を提出することで加点となります。

(1) 再生計画等を「策定中」の者
(2) 再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内(令和2年1月14日以降)に再生計画等が成立等した者

⑦その他

上記でご紹介した他、以下のような加点があります。

・特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点

・サプライチェーン加点

・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点

⑧減点項目等

過去の公募回で採択または交付決定を受けており、グリーン成長枠に今回申請する場合には、一定の原点を受けることになります。

事業再構築補助金で加点を得るための方法にはどんなものがある?

審査により加点されるために、これまで紹介してきた加点項目に自社が該当するのか、まずは要件をよく読み申請の点数の底上げを図るようにしてください。しかしこれは、すでに現在の状況で決まっているものや、自社の選択肢として選べないものもあります。

そこで、事業計画書の審査項目では、事業化点、再構築点、政策点のそれぞれの内容をよく把握し、自社の計画がどのようにそれぞれの審査項目に合致しているか分かりやすく、明確に書くように心がけると良いでしょう。

特に政策点は、一社単独で達成が難しいことでも、将来的に事業を成長させ達成の可能性があるかどうかを吟味し、現在取り組もうとしている再構築事業がどのようなものになっていくのかをイメージしながら計画書に落とし込むと良いでしょう。

事業再構築補助金の審査体制と注意点

審査に関しては、まず要件に当てはまっているかをチェックします。要件に当てはまらない事業者は、申請しても採択されることはないですし、書類の不備や不足には細心の注意が必要です。

審査体制として、事業計画の審査は人間がするものですが、これまでの事業への思いを目一杯作文するのではなく、新規事業の成功可能性が客観的に高いと考えられる情報を数字やグラフ等の根拠を持って記載し、それが熱意のある一本のストーリーとして通っていれば、理解されやすく高い点数を獲得できるでしょう。

経営は、アートとサイエンス(中にはクラフトも)の融合と言われることがありますが、この二つをしっかりと融合させて、理論的にも感情的にも納得できる計画書の作成により審査をクリアしてください。

最後に注意点ですが、アートもサイエンスも、それが全て自社事業と乖離した内容であったり、根拠が嘘であってはいけません。これから、実施することであり、事業者として実現できると信じられる計画をたてるようにしてください。

まとめ

以上が、事業再構築補助金の審査項目と加点・減点項目になります。

今回ご紹介した項目に関しては、全て第8回公募要領から抜粋した記載になりますので、

今後事業再構築補助金を申請ご予定の方、詳しく審査項目・加点項目について知りたい方は、ぜひ、公式HPより記載されている公募要領をご参照ください。

監修

監修 中小企業診断士 杉山義明

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