【事業承継・引継ぎ補助金】を検討中の経営者に解説M&A支援機関とは?
更新日:2022/04/17
公開日:2021/10/22
「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」を調べていると、「M&A支援機関」というキーワードが出てきます。
事業承継を検討している中小企業経営者にとっては初めての言葉で戸惑ってしまうかと思います。
「M&A支援機関」への支払いのみ補助対象になるとのことですが、そもそも「M&A支援機関」とは何なのでしょうか?
「M&A支援機関」を活用すると、どの程度補助金がもらえるのでしょうか?
今回は「M&A支援機関」について分かりやすく解説します。
M&A支援機関の概要
「M&A支援機関に係る登録制度」は中小企業が安心してM&Aに取り組めるように、中小企業庁が設立した制度です。
「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」の補助対象はあらかじめ登録された機関の支援に限ります。
M&A支援機関とは、以下のような種類の事業者が登録しています。
- M&A専門業者
- フィナンシャルアドバイザー(FA)
- 金融機関(都市銀行・地方銀行・信金など)
- 商工団体
- 弁護士
- 税理士
- 公認会計士
- M&Aプラットフォーマー
登録には要件を満たす必要があり、苦情に対する窓口も用意されているので、悪徳業者は含まれないと考えてよいでしょう。
中小企業経営者の皆さん、「ノウハウを持っていない」「資金が用意できない」といった理由で廃業を検討しているなら、M&A支援機関を活用してみてください。
参考:M&A支援機関登録制度
M&A支援機関登録の要件
M&A支援機関登録の主な要件を説明します。
- 中小M&Aガイドラインの遵守を宣言する
- FA・仲介業者において定める料金表(料金を定めた規程類等)を提出する
- 登録後の遵守事項を履行することを誓約する
- 登録を希望するFA・仲介業者は、秘密保持義務条項の規定内容に関わらず、顧客中小企業者等による情報提供窓口への相談等の行動を制約しない
他にも、「反社会的勢力に該当せず、今後も反社会的勢力との関係をもつ意思がない」「経済産業省の所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止措置を受けていない」などを満たす必要があります。
また、登録されたM&A支援機関に関する苦情は専用の通報窓口があり、内容によっては登録の取り消しも行われます。
このような条件を満たしたM&A支援機関だからこそ、円滑に引継ぎを進められるでしょう。
M&A支援機関に登録されていない場合
M&A支援機関に登録されていない場合、「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」の補助対象にはなりません。
登録しないと仲介業務やファイナンシャルアドバイザー業務ができない訳ではありません。
(※登録されていない業者に依頼することも可能ですが、補助金はもらえないと理解した上で進めましょう。)
しかし登録している機関のほうが情報収集力・計画力も含めて「安心して任せられる」と言えるでしょう。
M&A支援機関の利用用途
M&A支援機関がかかわった費用が「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」補助対象として認められた場合、大幅にコスト削減となります。
補助対象経費の要件は以下の3点です。
- 使用目的は事業承継・M&Aに必要だと明確に判断できる経費
- 補助事業期間内に契約・発注を行い、支払った経費
- 補助事業期間終了後の報告で、金額・支払いが確認できる経費
具体的には、FA業務や仲介業務にかかわる相談料・着手金・成功報酬などが委託費として計上可能です。
「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」の補助額・補助率は下記の通りです。
買い手支援型(専門家活用Ⅰ型)/ 売り手支援型(専門家活用Ⅱ型)
- 補助上限額:600万円以内
- 補助率:補助対象経費の3分の2以内
- 上乗せ額(廃業費):+150万円以内
参考:事業承継・引き継ぎ等補助金(専門家活用) | 令和2年度第3次補正予算 事業承継・引継ぎ補助金
M&A支援機関に依頼する際の注意点
初めてM&A支援機関に依頼する際、注意すべき3点を紹介します。
- 業務範囲・具体的な業務内容
- 手数料の算定方法・支払うタイミング
- セカンド・オピニオンの可否
特に手数料の確認を怠らないでください。
着手金のみで100万円、成功報酬でさらに300万円、と手数料が数百万円にのぼることも…。
資産面でも、従業員のことも含めて、大きな決断になるので、他の選択肢はないか?意見は合理的か?など確認するのもひとつの手です。
M&A支援機関に依頼する際には、中小企業庁・経済産業庁が発表している「中小 M&A ハンドブック」をチェックするとよいでしょう。
M&A支援機関の活用事例
M&A支援機関を活用し、事業承継・引継ぎを実現させた事例を紹介します。
買い手支援型(専門家活用Ⅰ型):小売業
代表者が高齢で、後継者がいない小売業を譲り受けることとしました。
民間FA事業者に事前相談 • 案件発掘 • 交渉全般を支援してもらい、関連費用を委託費として100%補助対象経費になりました。
補助事業期間中に予定していた引継ぎが取り消され、再度案件の発掘から始めるなどトラブルはあったものの、外部専門家のサポートにより成功。
忙しい経営者がM&A・引継ぎに多くの時間を割く必要がなく、スムーズに経営資源を引継ぎたい方には向いていると言えます。
買い手支援型(専門家活用Ⅰ型):サービス業
コロナの影響により契約先が売上減少、それに伴い契約停止。
将来を考え、飲食店経営をスタートすることにしました。
民間FA事業者に簡易DD • クロージングの事務対応 • 交渉全般を支援してもらい、着手金・成功報酬・デューデリジェンス費用を委託費として100%補助対象経費になりました。
代表者は初めてのM&Aだったため知識が不足していたが、M&A支援機関のサポートにより無事引継ぎを達成しました。
まとめ
今回は「M&A支援機関」について分かりやすく解説しました。
「M&A支援機関」とは中小企業が安心してM&Aを取り組めるように、中小企業庁が用意した制度です。
「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」の補助対象となるのは「M&A支援機関」に登録された機関の支援のみです。
(※登録していない仲介業者やファイナンシャルアドバイザーを利用すると、補助金を受け取ることができませんので注意してください。)
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